国際機関・関係省庁

◆経済産業省

電力設備電磁界対策ワーキンググループ

  WHOの環境保健クライテリア(EHC)No.238及びファクトシートNo.322の発行を受け、経済産業省は2007年6月に電力設備電磁界対策ワーキンググループを発足させました。ワーキンググループは6回にわたる会合を開催し、電気事業法に基づく規制対象である電力設備(送電、配電、変電設備)から発生する周波数50Hz、60Hzの電磁界の一般公衆に与える健康影響を対象として、国際的な規制の状況、国内外の研究、WHOのファクトシートを踏まえた規制のあり方、講ずるべき対策等を検討しました。これらの会合の中で、電力設備の磁界規制をICNIRPのガイドラインで設定された「50Hzで100μT (マイクロテスラ)以下」及び「60Hzで83μT (マイクロテスラ)以下」の磁界規制を設けることが妥当と判断し、意見の一致を見ました。また、追加的な対策が必要かどうかなど広く市民団体等からの意見を募り、それらを考慮した上で経済産業省に対し提言を含む報告書が作成されました。
 その報告書には以下の提言された項目が含まれています。

 高レベルの磁界による短期的な健康影響に係る対応
 低レベルの磁界による長期的な健康影響の可能性に係る対応
   (1)更なる研究プログラムの推進
   (2)リスクコミュニケーション活動の充実
   (3)ばく露低減のための低費用の方策
 この(2)には以下の内容があります。

 磁界ばく露による健康影響に関わる正確な知識が国民に正しく伝わっていないことから生じる問題の解消には、リスクコミュニケーションの増進を目的とした、中立的な常設の電磁界情報センター機能の構築が必要である。将来的には、電力設備にとどまらず活動領域を広げていくことを期待する。
 幼稚園、学校等多数の子供が定常的に集まる場所等では、リスクコミュニケーション活動が特に重要である。電気事業者は、これら地域の近傍に電力設備を新たに設置する場合には、住民との合意形成に格別の努力を払うべきである。
 
 以下にワーキンググループの詳細を記します。

 電力設備電磁界対策ワーキンググループ(経済産業省 原子力安全・保安院 総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会)
 ○委員:横山明彦・東京大学大学院工学研究科教授を主査とし、学識者、消費者、マスコミ、弁護士など全12名の委員で構成
 (大久保千代次明治薬科大学大学院教授(当時)も委員)
 ○検討内容:超低周波磁界の発生源のひとつである周波数50Hz、60Hzの電力設備から発生する電磁界規制のあり方について検討する。
 ○現状   現状
 ○検討経緯   現状

 ○ワーキンググループ報告書の政策提言:
1.高レベルの磁界への短期的なばく露によって生じる健康影響についての対応
 電力設備(送・配電線、変電設備)から発生する周波数50Hz・60Hzの磁界について、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が1998年に定めた一般の人々へのばく露ガイドラインの制限値(参考レベル)(100μT(マイクロテスラ)(50Hz)、83μT(マイクロテスラ)(60Hz))を基準値として採り入れる等必要な諸規定の整備、改正を行うべきである。
2.低レベルの磁界による長期的な健康影響の可能性に係る対応
 (1)更なる研究プログラムの推進
  磁界ばく露と健康影響との関係に不確かさが残っていることから、引き続き、その不確かさを低減させるため、産学官が協力して研究を推進すべきである。
 (2)リスクコミュニケーション活動の充実
  電磁界の健康リスクに関する正確な情報が国民に届いていない現状を踏まえれば、このような状況を是正するため、電磁界の健康リスクを中心とする様々な情報を収集し、例えば、最新の知見や日常生活におけるばく露状況等の情報について双方向のやりとりをきめ細かく行い、不安や疑問を持つ人々との信頼感の構築を目指すリスクコミュニケーションの増進を目的とした、中立的な常設の電磁界情報センター機能の構築が必要である。
  幼稚園、保育所、小学校等多数の子供が定常的に集まる場所、あるいは、その他にも電磁界の健康影響について強い不安を抱いている住民が住む地域では、リスクコミュニケーション活動が特に重要と考えられる。
 (3)ばく露低減のための低費用の方策
  低レベルの電磁界による長期的影響については、因果関係の証拠が弱く、電力設備からの磁界を低減することが健康リスクを低減するという考えに科学的根拠があるとは言えない。しかし、磁界レベルの低減に対して何か配慮することは、電磁界の健康影響に不安を抱いている人々とのリスクコミュニケーションの一環として大いに意味のあることと考えられる。
  海外では磁界低減方策として適用されている方策が、日本では設計段階で既に盛り込まれているのが実態である。電気事業者が新たに設置する設備について既に実施してきている高鉄塔化、鉄塔コンパクト化、逆相配列化などの磁界低減に向けた努力を可能な範囲で引き続き継続することが望ましい。

⇒参考資料
総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 電力安全小委員会 電力設備電磁界対策ワーキンググループ 報告書(経済産業省 原子力安全・保安院電力安全課)