IH調理器から発生する電磁界

IH調理器の概要

ガスコンロのイラスト

 IH調理器(電磁調理器とも呼ばれる)は、ガスや火を使用せず、電気のみで加熱させる調理器です。一般的にはコンロ型をしている調理器具をイメージされますが、IH炊飯器などの、同じ加熱原理を用いる機器も販売されています。





 

 

IH調理器の原理

 IH調理器は誘導加熱(Induction Heating)の原理を用いた調理器です。超低周波数50ヘルツまたは60ヘルツの電力をインバータで20~90キロヘルツの中間周波交流電流に変換、その電流をIH調理器の天板の内部に近接して配置されたコイルに流すと、コイルの中心から磁力線が発生します。すると、その磁力線により、鍋など金属製の調理器具の底にうず電流が発生するため、調理器具が持つ電気抵抗により調理器具そのものが発熱して、中身が加熱されます。

IH調理器の原理

IH調理器の種類

 IH調理器には、鉄・ステンレス加熱タイプとオールメタル加熱タイプがあります。オールメタル加熱タイプは多種な金属に対応するため、鉄・ステンレス加熱タイプに比べて使用する磁界の周波数は高くなっています。下表は使える鍋と使えない鍋の一例ですが、詳しくは各製品のホームページや取扱説明書をご確認下さい。

IH調理器の種類表

 

IH調理器から発生する磁界の強さ

 2010年11月に改訂された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のIH調理器で使用される加熱周波数帯(20~90キロヘルツ)のガイドライン値(参考レベル)は、27マイクロテスラです1)。IH調理器から5~10センチメートル離れればこの数値を超えることはないと報告されています。また、現在まで、IH調理器の使用により健康影響があるとの科学的根拠のある報告もありません。

使用上の注意事項

 スイス連邦内務省公衆衛生局(FOPH)の「EMFファクトシート電磁調理器(2009/01/21)」2)には、IH調理器の使用に際して不必要な磁界を浴びない方法など、以下の注意事項が記載されていますので、気になるのであれば参考にされてはいかがでしょうか。

1.調理ゾーンのサイズに合った大きさの鍋を使用する。
2.常に、調理ゾーンの真ん中に鍋を置く。
3.ゆがみのある傷んだ鍋や丸みのある鍋底のものを使用しない。
4.製造者により電磁調理器適合ラベルが表示されている。最も使用に適した鍋は、その電磁調理器と一緒に販売されて
  いる鍋である。
5.磁界のばく露は、電磁調理器から5~10センチメートルの距離をとることで大幅に低減できる。
6.鍋からの電流(コンタクト電流)による感電や熱傷を回避するために、金属製の調理用スプーンは使用しない。
7.心臓ペースメーカや植込み型除細動器を装着した人は、主治医に相談すべきである。
   (詳細は、第Ⅶ章の1~2節をご参照ください。)[▶Ⅶ(1)Ⅶ(2)

[参考資料]

1) 「ICNIRPガイドライン 時間変化する電界および磁界へのばく露制限に関するガイドライン(1Hzから100kHzまで)」
“ICNIRP Guidelines for limiting exposure to time-varying electric and magnetic fields(1Hz-100kHz)” Health Physics 99(6), pp.818-836, ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会) (2010)
http://www.icnirp.de/documents/LFgdl.pdf
http://www.icnirp.de/documents/LFgdljap.pdf(和文)
2)“EMF Fact sheets, Induction hobs” Swiss Federal Office of Public Health(FOPH)
http://www.bag.admin.ch/themen/strahlung/00053/00673/03156/index.html?lang=en


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