電磁界について

About electromagnetic fields
http://www.who.int/peh-emf/about/en/

 

電磁界について

 

電磁放射線は、宇宙の誕生以来あらゆる所に存在しており、光はその中で最もなじみ深いものです。電界及び磁界は、静的な電界や磁界から無線周波の放射線、赤外線、X線にまで及ぶ電磁放射線スペクトルの一部です。

以降では、

など総合的な情報を提供します。

以下も参照してください。

<目次に戻る>

電磁界とは何か?

What are electromagnetic fields?
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/

 

定義と発生源

電界は電位の差(電圧)があると発生します。電圧が高いほど生じる電界は強くなります。磁界は電流が流れると発生します。電流が大きいほど磁界は強くなります。電界はたとえ電流が流れていなくても存在します。電流が流れている状態では、磁界の強さは電力消費量に応じて変化しますが、電界の強さは一定で変わりません。

(WHOヨーロッパ地域局が1999年に発行した『電磁界』からの抜粋(地方当局、健康と環境に関する説明用パンフレットシリーズ32)

自然界の電磁界発生源

電磁界は私たちが暮らす環境のあらゆるところに存在していますが、私たちの目には見えません。電界は大気中の局所に電荷が集積すると発生し、雷雨を伴います。コンパスの針は地球の磁界によってつねに南北方向に向くのであり、鳥や魚もそれを利用して移動します。

人工的な電磁界発生源 

自然界の発生源に加え、電磁スペクトルには人工的発生源が作り出した電磁界も含まれています。スポーツ事故での手や足の骨折はX線を使用して診断します。電源ソケットから送られる電気は低周波の電磁界をともなっています。さまざまな種類の高周波の電波は、たとえばTVのアンテナ、ラジオ局、携帯電話基地局を経た情報の送信に利用されています。

波長と周波数の基礎

電磁界のさまざまな形態によって性質か異なるのはなぜか?

電磁界(EMF)を定義する基本的な特性の1つは周波数とそれに対応する波長です。。電磁界は、周波数が異なれば身体に対する相互作用の生じ方が異なります。電磁波というと、光速というとてつもない速さで進む、きわめて規則的な一連の波を想像すると思います。周波数とは1秒間の振動数またはサイクル数をそのまま表したもので、波長とはある波と次の波の間の距離です。したがって波長と周波数に密接に関連しており、周波数が高くなれば波長は短くなります。

こうした概念を説明するには、次のような簡単なたとえが役に立つかもしれません。長いロープの一端をドアの取っ手に結び、もう一方の端はそのままにしておきます。結んでいない端をもってゆっくり上下に振ると、大きな1つの波が作られます。振る動作を速くすると、小さな波がたくさん作られます。ロープの長さは一定なので、作られる波の数が増えるれば(周波数が高くなると) 、波と波の間の距離は短くなります(波長は短くなる)。

非電離の電磁界と電離放射線の違いは何か?

波長と周波数は、電磁界のもう1つの重要な特性を決定します。電磁波を運ぶのは、量子と呼ばれる粒子です。高周波(短い波長) の電磁波の量子は、低周波(長い波長)の電磁界の量子よりも大きなエネルギーを運びます。電磁波の中には、分子間の結合を破壊できるほど量子当たりのエネルギー量が非常に大きいものがあります。電磁スペクトルの中で、放射性物質が発するガンマ線、宇宙線、X線にこの性質があり、これらを「電離放射線」と呼びます。一方、量子が分子結合を破壊できるではない電磁界を「非電離放射線」と呼びます。工業化社会の生活の大きな構成要素である電力、マイクロ波、無線周波電磁界などの人工的な電磁界発生源は、電磁スペクトルの相対的に波長が長く、周波数が低い側の端にあり、その量子は化学結合を破壊することはできません。

低周波の電磁界

正または負の電荷が存在するならば、必ず電界が現れます。電界は、その電界内の他の電荷に力を及ぼします。電界の強さはメートル当たりのボルト(V/m) の単位で測定します。帯電した電線はそれに応じた電界を発生します。この電界はたとえ電流が流れていなくても現れます。電圧が高くなるほど、電線から一定距離の電界は強くなります。

電界は、電荷や帯電した導体の直近で最も強く、離れるにつれ急激に弱くなります。金属などの導体は電界をとても効果的に遮蔽することができます。建材や樹木などの物質にもある程度の遮蔽能力があります。したがって家の外にある電力線の電界は、壁、建物、樹木によって弱められています。電力線を地下に埋設すると、地表の電界はほとんど検知できないほど微弱になります。

磁界は電荷の運動によって発生します。磁界の強さはメートル当たりのアンペア(A/m) の単位で測定します。ただし電磁界研究で科学者はA/mの代わりにその関連物理量である磁束密度(単位:マイクロテスラ µT) を使用します。磁界は電界と対照的に、電気機器にスイッチを入れて電流が流れている時しか発生しません。その電流が大きいほど磁界の強さは大きくなります。

磁界も電界と同様、発生源の直近で最も強く、発生源から離れるにつれ急激に弱くなります。磁界は、建物の壁など一般的な物質では遮蔽できません。

電界

電界は電圧によって発生します。

電界の強さはメートル当たりのボルト(V/m)の単位で測定します。

電界は電気機器のスイッチをオフにした状態でも発生しています。

電界の強さは発生源から離れれば弱まります。

ほとんどの建材は電界をある程度遮蔽します。

磁界

磁界は電流の流れによって発生します。

磁界の強さはメートル当たりのアンペア(A/m) の単位で測定します。ただしEMFの研究者は一般的に、その関連尺度である磁束密度(マイクロテスラµT、またはミリテスラ mT) を用います。

磁界は電気機器のスイッチをオンにして電流が流れると同時に発生します。

磁界の強さは発生源から離れれば弱まります。

ほとんどの物質は磁界を弱めることはできません。

電界 電界 電気機器のプラグをコンセントに差し込むと、電気機器周囲の空気中に電界が発生します。電圧が高いほど、発生する電界は強くなります。電流が流れていなくても電圧はかかっているため、電気機器にスイッチを入れなくても、室内の機器周囲には電界が存在しています。
磁界 磁界 磁界は電流が流れているときにだけ発生します。その場合、室内には磁界と電界が共に存在することになります。流れる電流が大きいほど磁界は強くなります。送電や配電には高電圧を使用しますが、家庭では比較的低い電圧を使用します。送電設備の電圧には日による変化はほとんどありませんが、送電線を流れる電流は電力消費量によって変化します。
磁界 電気機器のコードの周囲の電界は、プラグを壁のコンセントから抜くか、壁のスイッチをオフにしない限り消失しません。ただし壁の向こう側の配線の周囲にはなお電界が存在します。

静的な電磁界と時間変化する電磁界はどこが違うのか?

静的な電磁界は時間が経っても変化しません。直流電流(DC)は一方向にだけ流れる電流です。電池を電源とする電気機器では、電流は電池から電気機器に流れまた電池に戻ります。この電流の流れが静的な磁界を作り出します。地磁気も静的な磁界です。したがって棒磁石の周囲の磁界は、鉄粉を磁石の回りに撒き、それが作り出す形を見れば目で確認することができます。

対照的に、時間変化する電磁界は交流電流(AC)によって生じます。交流電流は一定の間隔で電流の向きを変えます。ヨーロッパ諸国のほとんどでは、電気は1秒間に50サイクル、つまり50ヘルツの周波数で向きを変えます。それと一緒に電磁界は万遍なく毎秒50回向きを変えます。北米の電気の周波数は60ヘルツです。

低周波、中間周波、高周波の電磁界の主な発生源は何か?

電気機器から発生する時間変化する電磁界は、超低周波(ELF)電磁界の一例です。ELF電磁界の周波数は一般に300Hzまでです。その他の技術は、周波数300Hz~10MHzの中間周波(IF)電磁界や、周波数10MHz~300GHzの無線周波(RF)電磁界を発生します。電磁界が人体に及ぼす作用は、電磁界のレベルだけでなく、その周波数やエネルギーによっても異なります。ELF電磁界の主な発生源は、電力供給とその電力を使用するすべての電気機器です。IF電磁界の主な発生源は、コンピュータ画面、盗難防止装置、セキュリティシステムです。RF電磁界の主な発生源は、ラジオ、テレビ、レーダ、携帯電話のアンテナ、電子レンジです。このような電磁界は人体に電流を誘導します。その電磁界が十分に強ければ、その振幅と周波数範囲に応じて加熱や電気ショックといった一連の作用を生じます。(ただしそのような作用を生じるには、身体の外側の電磁界が通常の環境でのレベルをはるかに超えたきわめて強いものである必要があります。)

高周波の電磁界

携帯電話、テレビ、無線送信機、レーダはRF電磁界を発生します。このような電磁界は情報の長距離送信に利用され、無線通信や世界中のテレビ・ラジオ放送の根幹をなしています。マイクロ波はGHzという高い周波数のRF電磁界です。食品を素早く加熱するために、私たちは電子レンジにこのような電磁界を利用しています。 無線周波では電界と磁界が互いに密接に関係しているので、そのレベルの測定には平方メートル当たりのワット(W/m2) を単位とする電力密度を用いるのが普通です。

キーポイント

  1. 電磁スペクトルは電磁界の自然発生源と人工的発生源の両方を網羅しています。
  2. 周波数と波長で電磁界の特性は決まります。電磁波ではこの2つの特性が互いに直接関連し合い、周波数が高くなると波長は短くなります。
  3. X線やガンマ線などの電離放射線は、分子結合を破壊できるだけのエネルギーを持った光子からできています。電力周波や無線周波の電磁波の光子はそれよりはるかにエネルギーが低く、分子結合を破壊する力はありません。
  4. 電界は電荷が存在すれば必ず存在し、その測定はメートル当たりのボルト(V/m) の単位で行います。磁界は電流の流れによって発生します。磁界の磁束密度はマイクロテスラ(µT) かミリテスラ(mT) の単位でで測定します。
  5. 無線周波やマイクロ波の周波数では、電界と磁界は電磁波の2つの成分としてまとめて考えます。平方メートル当たりのワット(W/m2) を単位として測定する電力密度は、このような電磁界の強度を表しまです。
  6. 低周波と高周波の電磁波は、人体にそれぞれ異なる作用を及ぼします。
  7. 生活環境における低周波の電界及び磁界の最も一般的な発生源は、電力供給と電気機器です。無線周波の電磁界の日常生活での発生源は、無線通信、放送アンテナ、電子レンジです。

<目次に戻る>

健康影響の要約

Summary of health effects
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/index1.html

 

電磁界にばく露するとどうなるのか

電磁界へのばく露は決して新しい現象ではありません。ただし20世紀に入ってから、る電力需要の増大とともに人工的な電磁界発生源への環境ばく露はますます増加し、進歩を続ける技術、社会行動の変化がさらに一層人工的な電磁界発生源を作り出しています。誰もが家庭であれ職場であれ、発電や送電、家庭用電気機器、産業設備から無線通信、放送までの弱い電界及び磁界の複合したものにばく露しています。

人体には、外部に電界が存在しない場合であっても、正常な身体機能の一部である化学反応により微弱な電流が流れています。たとえば神経は電気的インパルスを送ることで信号を伝えます。また消化から脳活動に至る生化学反応のほとんどは、荷電粒子の再配置によって実現しています。心臓でさえも電気的に活動しており、医師は心電図でその電気的活動を記録することができます。

低周波電界 

低周波電界は人体に影響を及ぼしますが、それは電界が荷電粒子を含む他の物質に影響を及ぼすのとまったく同じことです。電界が導電性の物質に作用すると、物質表面の電荷の分布に影響を及ぼします。それによって身体から地面へと電流が流れます。

低周波磁界は身体内に循環電流を誘導します。電流の強さは、外部にある磁界の強さによって変化します。磁界が十分に強いものであれば、この電流は神経や筋肉の刺激を引き起こしたり、他の生物学的プロセスに影響を与えます。

電界も磁界も身体内に電圧と電流を誘導しますが、高圧送電線の直下でさえ、誘導される電流は電気ショックその他の電気的作用を引き起こす閾値の電流に比べればごく小さいものです。

無線周波電界

無線周波電磁界の主な生物学作用は加熱です。電子レンジはその作用を利用して食品を温めます。人々が日常生活でばく露される無線周波電磁界のレベルは、はっきりと分かる加熱を生じるために必要なレベルをはるかに下回ります。このような電波の加熱作用が現行ガイドラインの基礎になっています。科学者は、身体の加熱作用の閾値を下回るレベルで長期ばく露した結果として生じる影響の可能性についても研究しています。現在までのところ、無線周波や電力周波数の電磁界に対する低レベルの長期ばく露による健康への悪影響は確認されていませんが、科学者はこの分野の研究も活発に続けています。

生物学的作用か健康への影響か? 何をもって健康ハザードとするか?

生物学的作用とは、刺激や環境変化に対する測定可能な反応です。このような変化は必ずしも健康にとって有害なわけではありません。たとえば音楽を聴くこと、本を読むこと、リンゴを食べること、テニスをすることは一定の生物学的作用を生じます。だからといってこのような活動のどれも健康に影響があるとは思われません。身体は、私たちが生活環境で遭遇する多種多様な影響に適応するための精密なメカニズムを持っています。変化し続けることは私たち生命の常態の一部となっています。しかし、当然ながら、身体はすべての生物学的作用に対して十分な補償メカニズムを持っているわけではありません。不可逆の変化、長期にわたって身体にストレスとなる変化は健康ハザードになるかも知れ= ません。

健康に対する悪影響は、それにばく露された個人やその子孫の健康に検出可能な傷害を引き起こします。その一方、生物学的作用は健康に悪影響という結果になるかも知れず、ならないかも知れません。

一定レベルを超える電磁界が生物学的作用を引き起こすことについては、議論の余地はありません。健康なボランティアによる実験では、環境中や家庭に存在するレベルの短期ばく露であれば明瞭な悪影響は一切生じないことがわかっています。それより高いレベルの有害の可能性があるばく露は、国内及び国際ガイドラインで制限されています。現在の論争の中心は、長期の低レベルばく露は生物学的反応を引き起こすのか、そして人々の安寧に影響を及ぼすか否かという点です。

健康に関する懸念の広がり

健康に関する懸念の広がり 

近年のニュースの見出しを見れば、一般市民がどのような分野に懸念を抱いているのかある程度推測できます。この10年、数多くの電磁界発生源が健康に関する懸念についての話題の中心になりました。電力線、電子レンジ、コンピュータとテレビの画面、セキュリティ装置、レーダ、一番新しいところでは携帯電話と基地局です。

国際EMFプロジェクト

数と多様性が増え続ける電磁界発生源へのばく露により健康に影響があるかも知れないという懸念が一般市民の間で広がっていることを受け、世界保健機関(WHO)は1996年に大規模な学際的研究活動を開始しました。この国際EMFプロジェクトは、主要な国際機関、国際的研究所、および各国の政府機関や研究所からの最新知識と利用可能な資源を結集しています。

科学的研究による結論

非電離放射線の生物学的作用と医療への利用に関する分野では、この30年間におよそ25,000件の論文が発表されています。一部にはなお研究が必要だという意見もありますが、この分野に関する科学的知識は今やほとんどの化学物質についての知識よりも詳しくなっています。WHOは近年実施した科学論文の詳細なレビューに基づき、現在の証拠からは低レベル電磁界ばく露により健康への影響があることは確認できないと結論しました。ただし生物学的作用に関する知識にはなお欠落部分があり、さらに研究する必要があります。

健康全般に対する影響

一般市民の中には、さまざまな症状群の原因は家庭での低レベル電磁界ばく露であると思う人がいます。訴えがあった症状には、頭痛、不安、自殺と抑うつ、吐き気、倦怠感、性欲減退などがあります。現在までのところ、こうした症状と電磁界ばく露の関連を裏付ける科学的な証拠はありません。こうした健康問題の少なくとも一部は、環境中の騒音やその他の要因、あるいは新しい技術の存在に関連した不安によるものかも知れません。

妊娠の結果に対する影響

生活環境と労働環境には、コンピュータ画面、ウォーターベッドと電気毛布、無線周波の溶接機、高周波温熱治療装置、レーダなど多種多様な電磁界発生源とそのばく露があり、WHOやその他の機関はそれらの評価を行ってきました。証拠の全体的重みからは、通常の環境レベル電磁界へのばく露では、自然流産、奇形、出生時低体重、先天性疾患などの有害な結果が生じるリスクは増加しないことが示されています。電磁界ばく露の推定量と健康問題との関連についての報告、たとえば電力産業の労働者の子供における未熟児や出生時低体重の報告などが時折ありますが、科学界では、そうした事例は(溶剤ばく露などの要因と対比させて考えれば) 必ずしも電磁界ばく露が原因であるとはみなされていません。

白内障

高レベルの無線周波やマイクロ波電磁界射にばく露された労働者において、全般的な眼の炎症や白内障が時おり報告されていますが、動物実験では、熱ハザードを与えないレベルでそのような眼の損傷が発生し得るという考えは裏付けられていません。一般市民が経験するレベルでそのような影響生じること示す証拠はありません。

電磁界とがん

数多くの研究にも拘わらず、何らかの影響の証拠については依然として激しい意見の対立があります。ただし、もし電磁界ががんに対する影響を持つとしても、リスクの増加はきわめて小さいことは明らかです。現在までに得られた結果には互いに一致しない点が数多くありますが、小児や成人のどのようながんについても大幅なリスクの増加は見られていません。

いくつかの疫学研究は、家庭での低周波磁界のばく露に伴う小児白血病リスクの小さな増加を示唆しています。ただし全般的に科学者は、 (研究におけるアーチファクトや磁界ばく露とは無関係の影響を対比して考えれば) このような結果が電磁界ばく露と疾病の因果関係を示しているとは結論していません。このような結論に達した理由の1つには、動物研究や実験研究において、電磁界ががんを引き起こすまたは促進するという仮説と一貫した、再現可能な影響が実証されないことがあります。現在いくつかの国で大規模な研究が進行中であり、これがこの問題の解決に役立つかもしれません。

電磁過敏症と抑うつ

一部の人々は電界または磁界に対する「過敏症」を報告しています。そのような人たちは、痛みや苦痛、頭痛、抑うつ、無気力、睡眠障害、さらには痙攣や癲癇発作まで、もしかしたら電磁界ばく露に関連するのではないかと問うています。

電磁過敏症の概念を裏づける科学的証拠はほとんどありません。スカンジナビアで行われた最近の研究では、電磁界ばく露を適切に管理した条件下で人々は一貫した反応を示さないことが明らかになりました。また電磁過敏症を説明できる生物学的メカニズムとして広く受け入れられているものはありません。電磁界自体の直接的な作用は別として、それ以外に多くの主観的反応が関与するかも知れないため、この課題の研究は難しいです。この課題を継続している研究は多くなっています。

現在と今後の研究における重点

現在はがんに関する電磁界の研究に多くの努力が向けられています。1990年代後半に比べればその数は減っていますが、電力周波の電磁界の発がん作用の可能性を調べる研究も続いています。

最近多くの研究が行われているもう1つのテーマは、携帯電話の使用による長期的な健康への影響です。低レベルの無線周波電磁界へのばく露による明白な悪影響は見られていません。しかし、携帯電話の安全性に一般市民が懸念を持っていることを考慮して、非常に低いばく露レベルで何らかの余り明白でない作用が生じる可能性があるか否かを決定することを目指してなおも研究が行われています。

キーポイント

  1. 環境による多様な影響が生物学的作用を引き起こします。「生物学的作用」は「健康ハザード」と同じではありません。健康ハザードを特定し測定するには特別な研究が必要です。
  2. 低周波では、外部の電界及び磁界は身体内に弱い循環電流を誘導します。事実上すべての普通の環境において、身体内に誘導される電流のレベルは非常に小さいため、明白な影響を生じることはありません。
  3. 無線周波電磁界の主な作用は身体組織の加熱です。
  4. 非常に高いレベルの電磁界への短期ばく露が健康に害を及ぼすことに疑いはありません。現在の一般市民の懸念は、急性の生物学的反応を引き起こすレベルよりも低いレベルの電磁界ばく露によって長期的な健康への影響が生じる可能性があるかどうかという点にあります。
  5. WHOの国際EMFプロジェクトは、低レベル電磁界がハザードである可能性についての一般市民の懸念に対し、科学的に健全で客観的な回答を提供するために発足しました。
  6. 幅広く研究が行われてきましたが、現在までのところ、低レベル電磁界へのばく露が人間の健康に有害だと結論できるだけの証拠はありません。
  7. 国際的な研究の重点は、電力線や無線周波の電磁界とがんとの関連の可能性を調査することに置かれています。

<目次に戻る>

研究の進展状況

Progress in research
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/index2.html

 

もしも電磁界が健康に有害であるならば、すべての工業化された国で影響が生じることになります。一般市民は、日常生活の電磁界が健康に悪い影響を及ぼすのか否かという、ますます差し迫った疑問に対し具体的な回答を求めています。メディアはしばしば、決定的な回答を持っているかのように見えます。しかしメディアの報道は注意深く判断すること、メディアにとっての最大の関心は啓発ではないことを考えに入れることをが大事です。ジャーナリストは専門的ではない以下のような一連の理由に駆られてストーリーを選び、報道します。すなわち、ジャーナリストは他のジャーナリストと時間や空間を競い合っており、雑誌や新聞も発行部数を競っています。目新しいセンセーショナルな見出しでできる限り多くの人々の関心を引きつければ、ジャーナリストや新聞雑誌は目的を達成することになります。悪いニュースは、ビッグニュースでなくとも、我々が耳を傾けるニュースであることがしばしばあります。電磁界は無害であると示唆している多数の研究は、たとえ報道されてもほとんど注目されません。科学はまだ絶対的な安全性を保証することはできませんが、研究を広く展開することで全体的な安心を与えています。

image019

異なるタイプの研究が必要

電磁界が健康に悪影響を及ぼす可能性を評価するためには、異なる研究分野の研究を複合させることが必要不可欠です。研究タイプが異なれば、問題の別個の側面が研究できます。細胞を扱う実験研究は、電磁界ばく露と生物学的作用の結びつきの根拠を与える基礎的メカニズムを解明することを目的とします。電磁界によってもたらされた分子または細胞の変化に基づいてメカニズムを同定することを試みます。そのような変化は、物理的力がどのように生体内の生物学的活動に変換されるかのヒントを与えてくれるかもしれません。このような研究では単一の細胞や組織を本来の生存環境から引き離しますが、それによって本来なら機能するかも知れない補償メカニズムはおそらく働かなくなります。

これとは別のタイプである動物を扱う研究は、実際の生命の状態にもっと密接に結びついています。動物研究は、人体安全ばく露レベルを設定するに当たり、より直接的に適切な証拠を提供します。また多くの場合、複数の電磁界レベルの実験を行って用量-反応関係を調べます。

疫学研究または人の健康を調べる研究は、ばく露の長期的影響に関するもう1つの直接的情報源です。疫学研究は地域社会や職場の集団において、実際の生活状況における疾病の原因と分布を調べます。研究者は電磁界ばく露と特定疾病の発症または健康への悪影響との統計学的関連性があるか否かを確かめることを試みます。しかし疫学研究は費用がかかります。さらにそれより重要ことは、疫学研究は非常に複雑な人口集団に関する測定が必要であり、小さな影響を検出するために十分にコントロールするのは難しいことです。以上の理由から、科学者は潜在的な健康ハザードについて判断するに当たって、疫学、動物、細胞の研究を含め、全ての関連する証拠を評価します。

疫学研究の解釈

一般に、疫学研究だけで明確な因果関係の確証は得られません。その主な理由は、疫学研究はばく露と疾病の統計学的関係だけを検出しますが、その疾病の原因がばく露であるか否かは不明です。たとえば、ある仮説に基づく研究が「電力会社X」の電力作業者における電磁界ばく露とがんのリスク上昇との関連を示したとします。たとえ統計学的関連が観察されたとしても、それは職場に存在するその他の要因に関するデータが不完全なために起きた可能性もあります。たとえば電力作業労働者は発がん性を持つ化学溶剤のばく露を受けていたかもしれません。さらに言えば、観察された統計学的関連は統計学的な効果によるにすぎないかも知れませんし、研究自体に調査計画上の何らかの問題があったのかもしれません。

したがって何らかの因子と特定の疾病との間に関連が見られることが、必ずしもその因子がその疾病の原因であることを意味しません。因果関係の確立には、研究者が多くの要素を考慮することが求められます。ばく露と影響の間に一貫した強い関連があれば、また明確な用量-反応関係があれば、また信頼できる生物学的説明があれば、関連する動物研究による裏づけがあれば、そして何より、複数の研究間で一貫性があれば、因果関係の論拠は強められます。全般的に電磁界とがんに関する研究には上記の要素が欠けています。このことが、全体として科学者が弱い電磁界には健康影響があると結論することを嫌う最も大きな理由の1つです。

ごく小さいリスクの可能性を排除することの難しさ

「現代社会では、悪い影響の証拠がないというだけでは十分ではないようです。それどころか影響が無いことを示す証拠がますます要求されています」 (Barnabas Kunsch:サイバースドルフ・オーストリア国立研究センター)

「電磁界の健康への悪影響についての説得力のある証拠は存在しない」あるいは「電磁界とがんとの因果関係は確認されていない」は、この問題を調査した専門家委員会が到達した結論の典型です。この結論は、あたかも科学者が答えを避けたかったかのように聞こえます。それでは、科学者がすでに何も影響はないことを証明しているのなら、なぜ研究は続けられるのでしょうか?

その答えは単純です。人の健康の研究は、喫煙とがんの関連性のような大きな影響を同定することにとても向いています。しかし残念ながら、小さな影響有りと影響は全く無しを判別することはほとんどできません。もし仮に一般的な環境レベルの電磁界に強い発がん性があれば、それはすでに簡単に証明されていたはずです。それとは対照的に、低レベルの電磁界に弱い発がん性がある場合、あるいは大きな人口集団内のある少数集団に対して強い発がん性がある場合でさえも、それを実証することははるかに困難です。実際、たとえ大規模な研究で関連がないことが示されても、関係性はないと完全に確信することは決してできません。影響が見られないことが実際に何もないことを意味することはあり得ます。しかしそれとまったく同様に、単に使用した測定方法では影響が検知できないことを意味することもあり得ます。したがって影響を否定する結果は、影響を強く肯定する結果に比べると一般的に説得力が弱いです。

中でも最も困難な状況、それは残念ながら電磁界に関する疫学研究で生じている状況なのですが、それは影響を弱いながらも肯定する結果を示した一群の研究があり、しかしそのような研究結果が互いに一貫していないという状況です。このような状況では、データの持つ意味について科学者たちの意見が分かれることもあるでしょう。ただし上記の理由から、ほとんどの科学者と臨床医は、もし仮に低レベル電磁界の健康影響が完全にあるとしても、その影響は日常生活で人々が直面する他の健康リスクに比べごく小さいものでありそうだという見解に同意しています。

今後はどうなるのか?

WHO国際EMF国際プロジェクトの主な目的は、一般市民の懸念に対し十分な根拠をもつ対応を示すために、全世界で研究を開始し、それを調整することです。本プロジェクトが行う評価は、細胞研究、動物研究、人の健康研究の結果を集約し、できる限り総合的な健康リスク評価になるようにする予定です。当を得た、信頼できる研究を全体論的視点から評価することで、弱い電磁界への長期ばく露が健康に何らかの悪影響を及ぼすとすれば、その影響について可能な範囲で最も信頼性ある回答を提供する予定です。

さまざまなタイプの実験による証拠の必要性を説明するための1つの例はクロスワードパズルです。完璧にCERTAINTY(確実性)という解答を読めるようにするためには、9つの質問に答えなければなりません。そのうちの3問にしか答えられないと仮定すると、もしかしたら解答を推測できるかも知れません。しかし、得られた3文字は全く違う単語の一部であるかも知れません。新たに質問の答えが得られる毎に自分の確信は増していくでしょう。実際のところ、科学は全ての質問に答えることは決してできないでしょうが、より確固たる証拠を集めることで解答の推測もより正確になっていくのです。

image021

キーポイント

  1. 細胞に関する実験研究は、電磁界ばく露に有害な生物学的作用を引き起こすメカニズムがあるか否かを決定することを目的としています。動物研究は、生理学的にある程度人間に類似した高等生物において影響があるかどうかを確認する上で必要不可欠です。疫学研究は、電磁界ばく露と人の健康への特定の悪影響との間の統計学的関連を調べます。
  2. 何らかの因子と特定の疾病の間に統計学的関連が見られることは、その因子がその疾病の原因であったことを意味しません。
  3. 健康影響が見られないことが実際に何もないことを意味することはあり得ます。しかし、健康影響が見られないことは、存在する影響は現在の方法では検出できないことを表わしていることもあり得ます。
  4. 疑いが持たれている環境ハザードによる健康リスクの可能性について結論を導き出す前に、多方面の研究(細胞、動物、疫学)の結果を総合的に判断することが必要です。タイプが全く別の研究間で一貫した証拠が得られれば、真の影響についての確実性が高まります。

<目次に戻る>

家庭と環境における典型的なばく露レベル

Typical exposure levels at home and in the environment
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/index3.html

 

家庭の電磁界

送配電設備によるバックグラウンド電磁界レベル

電気は長い距離を高圧送電線で運ばれてきます。その高電圧を変圧器が低下させて、地域の家庭や企業に配電します。こうした送配電設備と住宅の配線や電気機器が、家庭における電力周波のバックグラウンド電界及び磁界レベルの原因です。電力線が近くにない家庭の場合、このバックグラウンド磁界は最大でおよそ0.2 µTと推定されます。電力線直下では、電磁界はそれよりはるかに強くなります。地表面レベルの磁束密度は最大数µTに達し、電界レベルは10 kV/ mという高レベルに達することがあります。ただしこのような電界と磁界のどちらも、電力線から離れれば急激に低下します。通常、高圧送電線から50 ~100 mの距離での電磁界は、同じ送電線から遠く離れた地域のレベルと同じです。また家屋の壁は、屋外の同じような位置でのものより電界レベルを大幅に低下させます。

家庭内の電気機器

高圧電線

高圧送電線の直下には、環境中で通常遭遇する電力周波電界の中で最も強い電界が存在します。一方、電力周波の最も強い磁界が一般的に存在するのは、モータおよびその他の電気機器の直近や医用画像装置に用いられている磁気共鳴スキャナなど特殊な装置の内部です。

家庭用電気機器の近くで測定した典型的な電界強度(30cmの距離)

(出典:ドイツ連邦放射線防護局、1999年)

電気機器

電界強度(V/ m

ステレオレシーバ

180

アイロン

120

冷蔵庫

120

ミキサー

100

トースター

80

ヘアドライヤー

80

カラーテレビ

60

コーヒーマシン

60

真空掃除機

50

電気オーブン

8

電球

5

ガイドラインの限度値

5000

さまざまな電気機器の周囲に多様なレベルの磁界があることを知ると、多くの人は驚きます。磁界強度は、電気機器の大きさ、複雑さ、出力、騒音などには関係しません。その上、見かけは似た機器でも、磁界強度は大きく違うかも知れません。たとえばヘアドライヤーの中には非常に強い磁界を周囲に発生させるものがある一方、磁界をほとんど発生しないものもあります。磁界強度のこのような差には製品の設計が関係しています。下表は、家庭や職場で普通に見かける電気機器の典型的な値を示したものです。測定はドイツで行ったものであり、いずれの電気機器も周波数50 Hzで作動します。実際のばく露レベルは電気機器のモデルや機器からの距離によって大きく変わることに注意して見てください。

家庭用電気機器の距離に応じた典型的磁界強度

電気機器

距離3cm (µT)

距離30cm (µT)

距離1m (µT)

ヘアドライヤー

62000

0.01~7

0.01~0.03

電気シェーバー

151500

0.08~9

0.01~0.03

真空掃除機

200~800

220

0.13~2

蛍光灯

40~400

0.52

0.02~0.25

電子レンジ

73~200

48

0.25~0.6

携帯ラジオ

16~56

1

<0.01

電気オーブン

1~50

0.150.5

0.01~0.04

洗濯機

0.8~50

0.153

0.01~0.15

アイロン

8~30

0.120.3

0.01~0.03

食器洗い機

3.5~20

0.63

0.07~0.3

コンピュータ

0.5~30

0.01

 

冷蔵庫

0.5~1.7

0.010.25

<0.01

カラーテレビ

2.5~50

0.04~2

0.010.15

ほとんどの家庭用電気機器は、30cmの距離の磁界強度が一般市民に対するガイドライン限度値である100µT を十分に下回っています。

(出典:ドイツ連邦放射線防護局、1999年) 通常操作を行う距離での値は太字で示す。

上表から2つの点がわかります。第1は、いずれの電気機器もそれから離れれば磁界強度は急激に低下すること。第2は、ほとんどの家庭用電気機器は身体の直近で作動するものではないことです。ほとんどの家庭用電気機器では、その周囲30cmの距離における磁界は、一般市民に対する50Hzでのガイドライン限度値100µT(60Hzでは83µT)の100分の1より低いものです。

電磁界情報センター注:
 2010年に国際非電離放射線防護委員会は、一般市民に対するばく露限度値を200μTに、職業ばく露限度値を1,000μTに変更しました。
 

テレビ受像機とコンピュータ画面

コンピュータ画面とテレビ受像機は同様な原理で動きます。どちらも静電界と多様な周波数の交流の電界及び磁界を発生します。ただし一部のラップトップコンピュータおよびデスクトップコンピュータに用いられている液晶画面は目立つほどの電界及び磁界を発生させません。最新のコンピュータは導電性の画面であるため、画面から発生する静電界は家庭や職場の通常のバックグラウンド電界と同様のレベルまでに下がっています。操作者の位置(画面から30~50cm)では、(電力周波の)交流磁界は磁束密度で0.7µT未満であるのが普通です。操作者の位置における交流電界強度は1 V/ m未満から10 V/ mまでの範囲です。

電子レンジ

家庭用電子レンジは非常に高い出力レベルで作動します。ただし効果的に遮蔽しているため、電子レンジ外への漏出はほとんど検知できないレベルにまで下がっています。また、マイクロ波が漏出しても、電子レンジから離れればそのレベルは急激に低下します。多くの国は製造基準を設け、出荷する電子レンジの最大漏出レベルを規定しています。したがって製造基準に適合した電子レンジであれば、消費者にハザードを与えることはありません。

家庭用ポータブル電話機

家庭用ポータブル電話機は、携帯電話に比べてはるかに低い電磁界強度で作動します。親機本体と子機は近い場所で使うため、長距離送信を行うための強い電磁界が不要だからです。その結果、このような機器の周りの無線周波電磁界は無視できるほどわずかなものです。

環境中の電磁界

レーダ

レーダは、ナビゲーション、天気予報、軍事利用のほか多様な用途に用いられています。レーダはパルスマイクロ波信号を放射します。平均出力はおそらく低い場合でさえ、パルスのピーク出力は高いことがあります。多くのレーダは回転したり上下に動いたりします。そのためレーダ付近で一般市民がばく露される平均出力密度は低下します。たとえ回転しない高出力の軍事用レーダであっても、一般市民が立ち入る場所でのばく露はガイドラインレベル以下に制限されています。

セキュリティシステム

店舗の盗難防止システムは、出口で電気コイルによって検知するタグを使用します。購入時に、タグを取り外すか永久的に無効にします。このコイルの電磁界は通常、ばく露ガイドラインレベルを超えることはありません。出入管理システムも同様に作動しますが、タグはキー・リングかIDカードに組み込まれています。図書館のセキュリティシステムもタグを使用し、本の貸し出し時にタグを無効にし、返却時に再び有効にします。金属検知機や空港のセキュリティシステムは、金属物の存在によって乱される磁界を使うもので、最大100 µTの強い磁界を用います。検知器の枠の近くでは磁界強度がガイドラインレベルに近づくことや、場合によってはそれを上回ることもあります。ただしそれが健康ハザードになることはありません。これについてはガイドラインに関する次節で説明します(「ガイドラインを超えたばく露は有害か?」を参照してください)。

電車 路面電車

電車と路面電車

長距離列車には、客車とは別に1両か複数両の電気機関車が連結されます。したがって乗客のばく露は主に列車に対する給電によって発生します。長距離列車の客車における磁界は、床付近で数百µTに達することがある一方、客車内のそれ以外の場所はそれよりも低い値です(数十µT)。電界強度は300 V/ mに達することがあります。鉄道線路の近くに居住する人々は架空給電線からの磁界にばく露する場合があり、この磁界は国にもよりますが、高圧送電線が発生する磁界と同等レベルと考えられます。

電車や路面電車のモータや牽引装置は客車の床下にあるのが普通です。そのため床レベルの磁界強度は、モータ直上の床部分で数十µTに達することがあります。この磁界は床から離れれば急激に弱まるため、乗客の上半身のばく露はそれよりはるかに低いレベルです。

テレビとラジオ

自宅のステレオでラジオ局を選ぶ時、なじみ深い略語であるAMとFMがどういう意味かと気になったことはありませんか? 無線信号は、情報の搬送方式に応じて振幅変調(AM)または周波数変調(FM)に分かれます。AMの無線信号は非常に長い距離の放送に向いている一方、FM波は限局的な地域で受信可能ですが、優れた音質を届けます。

AM無線信号は大型のアレイアンテナから送信されます。このアンテナは高さ数十mのものもあり、一般市民が立ち入りできない敷地に設置してあります。アンテナや給電ケーブルの直ぐ近でのばく露が高くなりますが、その影響を受けるのは一般市民ではなく保守作業を行う労働者です。

テレビやFMラジオのアンテナはAMラジオのアンテナよりはるかに小さく、高いタワーの最上部にアレイで取り付けられています。タワーそのものは支持構造物の役目しか果たしていません。タワーの足元付近のばく露はガイドライン限度値を下回っており、一般市民はその場所に立ち入ることができます。テレビやラジオの地方局の小型アンテナはビルの屋上に設置される場合もあり、その場合には屋上への立ち入りを規制する必要が生じることもあります。

基地局

携帯電話はいつでも人々に連絡がとれるようにします。この低出力の電波装置は、低出力の固定基地局のネットワークと信号の送受信を行います。それぞれの基地局は所定の地域内で受信可能にします。処理する通話件数に応じて、基地局の間隔は、大都市においては数百メートルしか離れておらず、田舎においては数km離れています。

携帯電話

通常、携帯電話基地局はビルやタワーの最上部、高さ15~50mの位置に設置されています。基地局の送信レベルは変動するものであり、通話件数ならびに通話者と基地局との距離に応じて変化します。アンテナは非常に幅の狭い電波のビームを放射し、それが地面とほぼ平行に広がります。そのため、地表面および一般市民が通常立ち入る場所での無線周波電磁界はハザードレベルよりはるかに低くなります。ガイドラインを超えるおそれが生じるのは、アンテナ前面から正面方向1~2mの以内に近づいた場合だけです。携帯電話が広く普及する前までは、一般市民は主にラジオ局やテレビ局からの無線周波電磁界放射のばく露を受けていました。携帯基地局の一般市民が立ち入る場所での信号強度は、通常、遠く離れたラジオ局やテレビ局からの信号強度と同等かあるいはそれより低いため、携帯電話基地局が加わった今日においても一般市民の総合ばく露量はほとんど増えていません。

ただし携帯電話の使用者は一般環境中よりもはるかに強い無線周波電磁界にばく露します。携帯電話は頭の直ぐ近くで作動します。そのため全身における加熱作用に注目するよりも、使用者の頭部に吸収されるエネルギーの分布を明らかにする必要があります。精緻なコンピュータモデリングと頭部モデルを用いた測定により、携帯電話から吸収されるエネルギーは現行ガイドラインを超過しないようです。

携帯電話の周波数へのばく露で生じる、熱作用以外のいわゆる非熱的作用についても懸念が高まっています。たとえば、微妙な細胞への作用ががんの発症に影響を持つかも知れないという示唆などです。脳や神経組織の機能に影響を及ぼすかも知れない電気興奮性組織への影響についての仮説も提出されました。ただし現在までに得られた証拠全体を見ると、携帯電話の使用で人の健康に悪い影響があることは示されていません。

日常生活における磁界:本当に強いものなのか?

近年、さまざまな国の政府機関が生活環境の電磁界レベルを調べるための測定を数多く実施しています。そのような調査ではひとつとして電磁界レベルが健康に悪い影響をもたらすかも知れないと結論したものはありません。

ドイツ連邦放射線防護局は最近、さまざまな職業ばく露と一般市民ばく露を含めて約2000名の個人の日常的磁界ばく露の測定を行いました。全員が個人用ばく露計を24時間装着しました。ばく露測定値には大きなばらつきがありましたが、1日で平均したばく露は0.10 µTでした。この値は、一般市民に対する基準限度値である100 µTの1000分の1、職業ばく露限度値である500 µTの5000分の1(訳者注:原文は200分の1となっている)です。また、都市中心部で生活する人々のばく露の測定結果から、農村地域と都市での生活の間でばく露に重大な違いはないが明らかになりました。高圧送電線の近くで生活する人々のばく露でさえ、人口集団の平均ばく露とほとんど差がありませんでした。

電磁界情報センター注:
 2010年に国際非電離放射線防護委員会は、一般市民に対するばく露限度値を200 µTに、職業ばく露限度値を1000 µTに変更しました。

キーポイント

  1. 家庭におけるバックグラウンド電磁界レベルは、主に送配電設備と電気機器が原因で生じます。
  2. 電気機器それぞれが発生する電磁界強度には大きな違いがあります。電界と磁界のどちらのレベルも、電気機器から遠ざかれば急激に低下します。いずれにせよ、家庭用電気機器の周囲の電磁界は通常、ガイドライン限度値をはるかに下回っています。
  3. テレビ受像機やコンピュータ画面の電界及び磁界は、操作する人の位置でガイドラインレベルの数百分の1あるいは数千分の1です。
  4. 基準に適合した電子レンジは健康にとって有害ではありません。
  5. レーダ施設、放送用アンテナ、携帯電話基地局の直ぐ近くへの一般市民の立ち入りが制限されている限り、無線周波電磁界のばく露ガイドライン限度値を超えることはありません。
  6. 携帯電話の使用者は、通常の生活環境でのレベルよりはるかに高い電磁界レベルにばく露します。しかしそのような高めのレベルでも、有害な影響を生じることは見られません。
  7. 多くの調査が、生活環境における電磁界ばく露レベルはきわめて低いものであることを実証しています。

<目次に戻る>

現行の基準

Current standards
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/index4.html

 

基準は私たちの健康を保護するために定めるものであり、多くの食品添加物、水中の化学物質や大気汚染物質の濃度などに関する基準はよく知られています。同様に電磁界に関する基準もあり、環境中の電磁界への過度のばく露を制限しています。

ガイドラインは誰が決めるのか?

各国は電磁界ばく露に関する独自の国内基準を定めています。ただし、そのような国内基準のほとんどは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定めたガイドラインに基づいています。ICNIRPはWHOが公式に承認した非政府組織であり、全世界の科学研究の結果を評価しています。さらにICNIRPは科学論文の綿密なレビューに基づき、ばく露の限度値を勧告するガイドラインを作成します。これらのガイドラインは定期的に見直しされ、必要があれば更新されます。

電磁界レベルは周波数に応じて複雑に変化します。すべての基準及びすべての周波数について数値を一覧表に示しても分かりにくいと思います。下表は、一般市民の懸念の対象となっている3つの領域、すなわち家庭内の電気、携帯電話基地局、電子レンジに関するばく露ガイドラインの要約です。このガイドラインは1998年4月に最後の更新が行われています。

電磁界情報センター注:
 静電磁界のガイドラインは2009年に、100kHzまでの低周波電磁界のガイドラインは2010年にそれぞれ更新されました。

ICNIRPばく露ガイドラインの要約

 

ヨーロッパの電力周波数

携帯電話基地局の周波数

電子レンジの周波数

周波数

50Hz

50Hz

900MHz

1.8GHz

2.45GHz

 

電界(V/ m)

磁界(µT)

電力密度

(W/ m2

電力密度

(W/ m2

電力密度

(W/ m2

一般市民のばく露限度値

5000

100

4.5

9

10

職業ばく露

限度値

10000

500

22.5

45

ICNIRP、電磁界ガイドライン、Health Physics 74、494-522(1998年)

ばく露ガイドラインは、旧ソビエト諸国の一部と西側諸国とで100倍以上異なる場合があります。貿易のグローバル化と無線通信の急速な世界的普及を考えれば、万国共通の基準が必要です。旧ソビエト連邦の多くの国は現在、新しい基準を検討中であるため、WHOは先般、ばく露ガイドラインを全世界で調和させるためにイニシャティブをとり始めました。今後の基準はWHOの国際電磁界プロジェクトの結果に基づいたものになるはずです。

ガイドラインは何を根拠としているのか?

強調すべき重要な点は、ガイドラインの限度値は安全と有害との正確な境界を明示するものではないことです。ばく露がそれを超えれば健康に有害だというあるレベルがあるのではなく、人の健康にとっての潜在的リスクはばく露レベルの上昇とともに次第に大きくなっていきます。ガイドラインが示しているのは、科学的知識にしたがって、ある一定の閾値を下回る電磁界ばく露は安全であるということです。ただし、それを受けて自動的に、与えられた限度値を超えたばく露は有害であるということになるわけではありません。

とはいえ、ばく露限度値を設定するためには、科学的研究により健康への影響が初めて出現する閾値レベルを確認しなければなりません。人を実験に使うことはできないため、ガイドラインは決め手を動物研究に依存しています。低レベルのばく露における動物の微妙な行動変化は、それより高いレベルにおける健康状態の重大な変化に先行して生じることがしばしばあります。異常行動は生物学的反応の非常に敏感な指標であり、そのような異常行動が最も低いばく露レベルで観察できる健康への悪影響として選ばれました。ガイドラインは、行動変化が認められる電磁界レベルへのばく露を防止するよう勧告しています。

この行動に関する閾値レベルはガイドラインの限度値と同じではありません。ICNIRPは10倍の安全係数を適用して職業ばく露の限度値を導き出し、一般市民に対しては50倍の安全係数を適用してガイドライン限度値としています。したがって、たとえば無線周波やマイクロ波の周波数範囲では、環境中や家庭で経験する可能性がある最大レベルは、動物に行動変化が初めて現れる閾値レベルの少なくとも50分の1のレベルです。

どうして職業ばく露ガイドラインの安全係数は一般市民のガイドラインより低いのか?

職業的にばく露する人々は成人で、通常、電磁界条件を分かっていて経験します。このような労働者は潜在的なリスクを承知し、適切なプレコーションをとるように訓練を受けています。それに対し一般市民にはあらゆる年代、さまざまな健康状態の人々がいます。多くの場合、一般市民は自分がEMFにばく露されていることに気づいていません。しかも一般市民のひとりひとりが、ばく露を最小に抑えたり回避したりするためにプレコーションをとることは期待できません。こうした配慮に基づき、職業ばく露される労働者よりも一般市民に対してばく露制限が厳しくなっているのです。

これまで見てきたように、低周波の電磁界は人体に電流を誘導します(「電磁界にばく露されるとどうなるの?」参照)。しかし人体のさまざまな生化学反応もまた電流を発生させます。細胞や組織は、そうしたバックグラウンドレベルを下回る誘導電流は検知できないと考えられます。したがって低周波のばく露ガイドラインは、電磁界が誘導する電流のレベルが人体の自然な電流レベルを下回ることを保証します。

無線周波エネルギーの主な作用は生体組織の加熱です。したがって無線周波電磁界やマイクロ波のばく露ガイドラインは、局所または全身の加熱による健康への影響を防止するように定められています(「電磁界にばく露されるとどうなるの?」参照)。ガイドラインを遵守することで、加熱作用は有害でない程度まで十分に小さいことが保証されます。

ガイドラインが責任を持てないものは

現在のところ、長期的な健康への影響の可能性に関する推測はガイドラインや基準を発行するための根拠と成り得るものではありません。すべての科学的研究の結果を積み上げた証拠の全体的重みは電磁界ががんなど長期的な健康への影響を引き起こすことを示していません。各国政府機関および国際機関は、健康への既知の影響を防止するため、最新の科学的知識に基づいて基準の策定と更新を行っています。

ガイドラインは平均的な人口集団について策定されており、より高い感受性を持つ可能性がある少数の人々の要求に直接対処することはできません。たとえば大気汚染に関するガイドラインは、喘息患者の特殊なニーズに基づいていません。同様に電磁界のガイドラインも、心臓ペースメーカなど植え込み型医用電子装置との干渉から人々を防護することは意図されていません。その代わりに、避けるべきばく露状況についての助言を製造者または装置の植え込み手術をした臨床医に問い合わせるのがよいでしょう。

何をもって家庭や環境における典型的な最大ばく露レベルとするか?

いくらか実際的な情報があった方が、上述した国際ガイドラインの値が理解しやすくなると思います。そこで下表に最も一般的な電磁界発生源を示しました。値はいずれも一般市民の最大ばく露レベルです。したがってあなたご自身のばく露はこれよりはるかに低いだろうと思います。個別の電気機器の周りの電磁界レベルを詳しく知るには、家庭と環境における典型的なばく露レベルの節を参照してください。

発生源

一般市民にとって典型的な最大ばく露レベル

電界(V/ m)

磁束密度(µT)

自然の電磁界

200

70(地磁気)

電力供給線

(電力線付近ではない家屋内)

100

0.2

電力供給線

(大きな電力線の直下)

10000

20

電車と路面電車

300

50

テレビとコンピュータの画面

(操作者の位置で)

10

0.7

 

一般市民にとって典型的な最大ばく露レベル(W/ m2

テレビとラジオの送信機

0.1

携帯電話基地局

0.1

レーダ

0.2

電子レンジ

0.5

出典:WHOヨーロッパ地域局

ガイドラインはどのように実行され、誰がそれをチェックするのか?

電力線、携帯電話基地局、あるいは一般市民が近づく可能性があるその他の発生源の周囲の電磁界を調査する責任を負うのは政府機関や地域の管轄当局です。そうした機関はガイドライン遵守の維持を確保しなければ成りません。

電子機器に関しては、製造者が基準限度値を遵守する責任を負います。ただしこれまで見てきたように、ほとんどの機器の性質上、放射する電磁界が閾値を十分に下回るレベルであることは確実です。その上、多くの消費者団体は規則的にテストを実施しています。特に何か懸念や心配がある場合は、製造者に直接問い合わせるか、地元の公衆衛生管轄当局に照会してください。

ガイドラインを超えたばく露は有害か?

賞味期日内にイチゴジャム一瓶を食べ切るのはまったく安全なことですが、その期日をいくらかでも過ぎてそのジャムを食べるのであれば、製造者は食品の品質を保証できません。とはいえその期日を数週間ないし数カ月過ぎていたとしても、普通はジャムを食べても安全です。同様に電磁界ガイドラインは、所定のばく露限度値以内であれば健康に対する既知の悪影響は生じないことを保証しています。健康影響を引き起こすことが分かっているレベルにさらに大きな安全係数を適用しています。したがってたとえ所定の限度値の何倍かの強度の電磁界にばく露されたとしても、そのばく露はまだ安全マージン内にあることになります。

日常生活の中では、ほとんどの人はガイドライン限度値を超える電磁界を経験することはありません。典型的なばく露は限度値をはるかに下回ります。ただし時には、個人のばく露が短時間だけガイドラインに近づく、あるいはそれを超えるという事態が起こります。ICNIRPによれば、累積的作用に対処するため、無線周波とマイクロ波のばく露は時間で平均することになっています。ICNIRPガイドラインは時間平均する時間を6分間と規定し、限度値を上回る短期ばく露は許容されています。

それとは対照的に、このガイドラインで低周波の電界及び磁界へのばく露は時間平均しません。話がやや複雑になりますが、カップリングというもう1つの要因が説明に加わります。カップリングとは、電界及び磁界とばく露を受ける身体との相互作用を意味しています。カップリングは身体の大きさと形状、生体組織の種類、電磁界に対する身体の向きによって変化します。ガイドラインは安全側に立たなければなりません。そのためICNIRPはばく露される人と電磁界のカップリングをつねに最大限と仮定しています。つまりガイドラインの限度値は最大限の保護を提供しています。たとえばヘアドライヤーや電気シェーバーの磁界の値が勧告値を上回っているように見えても、磁界と頭部の間のカップリングは非常に弱いため、ガイドラインの限度値を超える電流を誘導することはできません。

キーポイント

  1. ICNIRPは最新の科学知識に基づくガイドラインを発行しています。ほとんどの国はこの国際ガイドラインに基づいて自国の国内基準を策定しています。
  2. 低周波電磁界の基準は、誘導電流が身体内における通常のバックグラウンド電流レベルを下回ることを保証しています。無線周波とマイクロ波の基準は、全身または身体の一部の加熱による健康への影響を防止しています。
  3. ガイドラインは医用電子装置との干渉可能性を防護するものではありません。
  4. 日常生活における最大ばく露レベルはガイドライン限度値よりはるかに低いのが普通です。
  5. 安全係数を大きくとっているため、ばく露がガイドラインの限度値を超えても必ずしも健康にとって有害なわけではありません。その上、高周波電磁界では時間で平均をとること、低周波電磁界では最大カップリングを仮定することにより、さらに追加的な安全マージンが導入されます。

<目次に戻る>

プレコーショナリアプローチ

Precautionary approaches
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/index5.html

 

多くの研究データが発表されるのにともない、電磁界ばく露が深刻な健康ハザードであるとはますます考えにくくなってきました。とはいえ、なお不確かさは残っています。対立した研究結果の解釈をめぐって始まった当初の科学的議論は変化して、社会的また政治的な問題になっています。

一般市民の電磁界に関する議論は電磁界による損害の可能性に集中し、往々にして電磁界技術がもたらす利益は無視しています。電力がなければ社会は停滞します。同様に放送や無線通信は今や現代社会の純然たる事実です。費用と潜在的なハザードとのバランスを考えることはきわめて重要です。

公衆衛生の保護

電磁界に関する国際的なガイドラインや各国の安全基準は、最新の科学知識に基づき、人が遭遇する電磁界が健康に有害とならないことを保証するために作成されています。知識の不確かさ(たとえば実験誤差や動物から人への外挿による不確かさ、統計学的不確かさ)を補うため、ばく露限度値には大きな安全係数を取り入れています。ガイドラインは規則的に見直され、必要があれば更新されます。残された不確実性に対処するために追加的なプレコーションをとることは、健康への影響に関する知識が科学によって改善されるまでの間採用するには有益な政策であるかも知れません。ただし選択すべきプレコーショナリ政策の種類と程度は、健康リスクを示す証拠の強さと潜在的な健康への影響の規模と性質に決定的に支配されます。コーショナリ的対応は潜在的なリスクに釣り合ったものでなければなりません。詳しい情報については、「WHO コーショナリ政策に関する背景説明」を参照してください。

化学的および物理的因子に関する公衆衛生、労働衛生、環境保健と安全問題に対する懸念に取り組むために、注意を促すための政策がいくつか作成されています。

研究が続いている状況で何をするべきか?

国際EMFプロジェクトの目標の1つは、各国の管轄当局が電磁界技術の利用による利益と健康リスクが見出される可能性とを比較検討する作業を支援することです。さらに、WHOは、必要であれば防護措置に関する勧告を発表する予定です。必要とされる研究が完了し、それを評価した上で発表するにはなお数年がかかるでしょう。その間に、WHOは一連の勧告を発表してきました。

 既存の国内および国際的安全基準を厳格に守ること:こうした基準は最新の知識に基づき、大きな安全係数を用いて、人口集団の全ての人を防護ために作成されています。

 単純な防護措置:強い電磁界発生源の回りに障壁を設置することで、ばく露限度値を超えるおそれがある区域への部外者の立ち入りを防ぐことができます。

 新しい送電線や携帯電話基地局の設置場所の決定における地元管轄当局および一般市民と協議すること:設置場所の決定にはしばしば景観および住民の感受性を考慮に入れることが要求されます。計画段階でオープンなコミュニケーションをとることは新しい施設に対する一般市民の理解と受け入れを醸成することに役立ちます。

 コミュニケーション:科学者、政府、企業、一般市民の間で健康に関する情報伝達とコミュニケーションを図る有効なシステムがあれば、電磁界ばく露を取り扱うプログラムについて全般的な意識を高め、不信や不安を低下させることができます。

 詳しい情報については、WHOの電磁界と公衆衛生に関するファクトシートを参照してください。

<目次に戻る>

EMFとは何か? ドイツ語、イタリア語、スウェーデン語

What is EMF – German, Italian & Swedish
http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/index6.html

 

ドイツ語

・Was sind elektromagnetische Felder? [pdf 63kb]

イタリア語

・Cosa sono i campi elettromagnetici? [pdf 711kb]

スウェーデン語

・Vad är elektromagnetiska falt? [pdf 548kb]

<目次に戻る>

EMF研修の参考資料

EMF training resources
http://www.who.int/peh-emf/about/Training/en/index.html

 

「生体電磁気学研究の方法論」に関する課程

この課程は若い科学者に生体電磁気学研究の問題の入門的解説を行い、生物学者には物理学を、物理学者には生物学を授けるように構成されています。教師や一般市民の方々にも有益だと思います。

内容の一部は他所の課程を基にしています(たとえばエーリチェにおける課程「電磁界と生物との相互作用のメカニズム」、2006年11月)。この課程は、健康リスク評価やばく露基準の策定に関連する(疫学的というよりむしろ)実験的な手法の基礎を提供することを目指しています。課程ではEMFの全スペクトル(DCからミリ波まで)を扱います。

課程を作成したのはボルドー大学(フランス) のB. Veyret教授です。この課程に関するご意見は以下宛てにお送りください。 emfproject@who.int

ログオンの詳細 eLearning課程へのリンク 利用者名:emfcourse パスワード:emfresearch

静的な電磁界と超低周波(ELF) の電磁界

このプレゼンテーションでは静的な電磁界や周波数300Hz未満の電磁界に関する最新知識を復習します。こうした周波数は発電や送電で幅広く用いられており、一般市民の健康という観点からは特に重要です。

<目次に戻る>

よくある質問のサイトへのリンク

Links to frequently asked questions sites
http://www.who.int/peh-emf/about/faq/en/index.html

 

  • 連邦放射線防護局、ドイツ [ドイツ語]
  • EMF-Links:電界及び磁界に関する生物医学と工学の情報センター、米国
  • 健康保護庁、英国
  • 国立環境衛生科学研究所(NIEHS)、米国
  • 米国食品医薬品局(FDA) - 携帯電話に関する事実

<目次に戻る>

関連サイト

Related sites
http://www.who.int/peh-emf/about/related/en/index.html

 

EMFプロジェクトでの連携機関

  • 連邦放射線防護局:ドイツ
  • COST 281
  • 連邦通信委員会:米国
  • 安全衛生庁:英国
  • 健康保護庁:英国
  • 国際がん研究機関 (IARC)
  • 国際非電離放射線防護委員会 (ICNIRP)
  • 国際労働機関
  • 国立環境衛生科学研究所 (NIEHS) RAPIDプログラム
  • オタワ大学 (rfcom):カナダ

その他にも多くの機関がEMFに関する情報を提供しています。多様な情報源を提供するために、いくつかのサイトを以下に順に挙げます。ここに挙げることが、下記のサイトの見解や意見をWHOが支持または推奨していることを意味するわけではありません。

EMFばく露と健康の問題に関心を持つが、国際EMFプロジェクトには参加していない機関や学会

    • ベルギー生体電磁グループ (BBEMG)
    • BEMS:生体電磁気学会及び生体電磁気学雑誌
    • BEMS:生体電磁気学雑誌:発行者のサイト
    • Bridlewood電磁界(EMF) 情報サービス
    • 米国電力中央研究所 (EPRI)
    • Elettra 2000
    • ヨーロッパ生体電磁気学会
    • 欧州電気技術基準調整委員会 (CENELEC)
    • Green Facts:電力線、配線、電気機器によるEMFに関する科学的事実
    • Information Ventures、EMFリンク
    • 英国工学技術学会 (IET)、生物学的影響政策諮問グループの意見表明書、2006年5月
    • 英国工学技術学会 (IET)、EMFと健康に関する事実ファイル
    • ウィスコンシン医科大学、J MoulderのFAQ
    • Microwave News
    • 非電離放射線に関する医療専門家デスク (NIRMED)
    • 米国国立がん研究所 (NCI)
    • 職業安全衛生管理局 (OSHA)、ELF
    • 職業安全衛生管理局 (OSHA)、RF
    • 無線利用に関する研究機関 (Forschungsgemeinschaft Funk e.V.): 英語およびドイツ語
    • ロシア国立非電離放射線防護委員会 (RNCNIRP): 英語
    • 移動通信に関するスイス研究財団 (Forschungsstiftung Mobilkommunikation)

<目次に戻る>