論文解説

≪「電磁波と小児の脳腫瘍」に関する疫学研究の解釈≫

 わが国では、「生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究」が、科学技術庁(現、文部科学省)の科学振興調整費の補助を受けて、1999年から2001 年にわたり独立法人国立環境研究所を中心として行われました。成果の一部として、商用周波磁界と小児白血病については既にKabuto(兜)らによって報告されていますがa)、この度「商用周波磁界と小児の脳腫瘍」についてのSaito(齋藤)らにより、Journal of Epidemiologyに原著論文として掲載されました。
 結論は、「0.4μT 以上の高レベルばく露と脳腫瘍のリスクとの間に正の関連性が見られた。この関連性は、交絡因子または選択バイアスのみでは説明ができない。しかし、サンプルサイズが小さいため、観察されたリスク増加は、たとえオッズ比が統計学的に有意であったとしても、注意して解釈しなければならない。」です。
 電磁界情報センターでは、専門家ネットワーク*1の疫学研究者による解説と学術専門家グループ(Rapid Response Group;RRG*2)から論文に関する評価を得ましたので、以下に紹介します。

原著論文
専門家ネットワークの疫学研究者からの解説
学術専門家 RRGの見解

*1 専門家ネットワーク:電磁界情報センターが組織する専門家のネットワーク
*2 RRG:電磁界情報センターが組織する専門家ネットワークの一部で、海外の専門家からなる科学論文レビューグループ

 

参考文献

a) Kabuto M, et al., Childhood leukemia and magnetic fields in Japan: A case-control study of childhood leukemia and residential power-frequency magnetic fields in Japan. International Journal of Cancer (2006), 119: 643-650.

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b) Saito et al., Power-Frequency Magnetic Fields and Childhood Brain Tumors: A Case-Control Study in Japan. Journal of Epidemiology (2010), 20:54-61〔商用周波磁界と小児の脳腫瘍:日本における症例-対照研究〕

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c)電磁界情報センター Rapid Response Group マイク・レパコリ教授 要約 

 

最新文献

 電磁波と小児の脳腫瘍に関する最新の疫学研究論文a)が、2010年8月、American Journal of Epidemiologyに掲載されました。この論文の概要は以下の通りです。
 「プール分析は、ばく露と疾患との関連についての病因論的洞察を提供する可能性がある。小児白血病とは対照的に、小児脳腫瘍と超低周波磁界(ELF-MF)のプール分析はこれまで行われていない。我々は、ELF-MFばく露と小児脳腫瘍の研究10件の一次データ(1960-2001年)に基づいたプール分析を行い、潜在的な交絡因子を調整した上で、統合した結果が関連を示すか否かを評価した。
 ばく露カテゴリー <0.1μT に比較した0.1-<0.2μT、 0.2-<0.4μT、 ≧0.4μTにおける小児脳腫瘍のオッズ比は、それぞれ、0.95(95%信頼区間:0.65-1.41)、0.70 (0.40-1.22)、1.14(0.61-2.13)であった。
 その他の分析として、ばく露カテゴリーの区分点を変更してみること、交絡因子をさらに調整すること、特定の研究を除外してみること、測定手法や住居の種類により層化すること、ばく露-反応関係のノンパラメトリック推定することを行ったが、ELF-MFと関連した小児脳腫瘍リスク上昇の一貫した証拠は出てこなかった。
ELF-MFばく露と小児脳腫瘍の関連性の証拠はほとんどないことを、今回の結果は示した。」

a) Kheifets et al., Systematic Reviews and Meta- and Pooled Analyses: A Pooled Analysis of Extremely Low-Frequency Magnetic Fields and Childhood Brain Tumors(2010) 〔体系的レビューとメタ分析およびプール分析:超低周波磁界と小児脳腫瘍のプール分析〕

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