電気自動車・ハイブリッド車から発生する電磁界

電気自動車・ハイブリッド車の仕組み

 騒音が小さく、排ガスを出さない環境にやさしいとされる電気自動車は、エンジンの代わりにモーターと制御装置を使い、ガソリンの代わりにバッテリーに蓄えた電気で走る車です。

バッテリー
電気を蓄える装置で、鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池が実用化され、とくにリチウムイオン電池は、蓄える電気量や寿命等が優れています。
モーター
電気を使用して車輪を回転させる装置で、最近の電気自動車は、小型軽量でエネルギー効率のよい交流電動機が使用されています。
コントローラ
アクセルと連動し、電池から供給される電気エネルギーを調整して、モーター(制御装置)の出力をコントロールする装置です。交流電動機搭載の場合は、直流を交流変換するインバータも内蔵されています。

 ハイブリッド車は、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターの両方を備えているのが特徴です。走り出しや高速道路で加速する場合など馬力が必要となるときに、ガソリンを使ってスムーズな走行を助け、その後にスピードが一定になると、動力をガソリンから電気に切り替えて走行します。

 また、プラグインハイブリッド車(PHV)は、外部電源から充電できるタイプのハイブリッド自動車で、走行時にCO2や排気ガスを出さない電気自動車のメリットと、ガソリンエンジンとモーターの併用で遠距離走行ができるハイブリッド自動車の長所をあわせ持つ自動車です。

磁界測定

 定速走行時の自動車内における交流磁界の測定と、磁界の周波数分析について紹介します。測定概要は下表のとおりです。

測定位置
■測定位置

対象車種 電気自動車(EV)
ハイブリッド車(HV)  〔各1台〕
ガソリン車(ICEV)
測定座席 運転席
助手席
後部座席(運転席後方)
測定位置 右図のように各座席、
人間の頭部(A・B)、腹部(C・D)、
脚部(E・F)
に相当する位置6点
走行速度  0km/h(アイドリング状態)
10km/h(徐行走行程度)
40km/h(一般道走行程度)
80km/h(高速道走行程度)




送風機とシャーシダイナモ

 測定値には、シャーシダイナモ(床面下のローラーを回転させて自動車の走行状態を模擬できる装置)などの屋内試験施設から発生する磁界も含まれるため、事前にその周波数成分を確認し、解析の際に測定結果からこの周波数成分を減算しました。






測定結果

 下図に、各車種から発生する磁界の周波数特性の一例(測定条件;運転席・40km/h・測定位置F)を示します。自動車内の磁界は連続的な周波数ではなく、複数のピーク周波数を持つ磁界が発生していることがわかります。この測定では、いずれの車種も6Hz付近に最も大きい磁界が存在し、電気自動車とハイブリッド車には6Hz以外にもピーク周波数が存在しました。

測定結果のグラフ

 なお、速度別に最大磁界となる周波数は、10km/h走行時で約1Hz、40km/h走行時で約6Hz、80km/h走行時で約12Hzであり、車種や測定位置の違いによる差はありません。

 測定位置では脚部が頭部や腹部に比べて大きく、座席による比較では運転席や助手席が後部座席よりも大きくなりました。各車種の最大磁界とその測定条件を下表に示します。いずれにおいても人への健康影響を考慮して国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が公表している、電磁界ばく露の制限に関するガイドラインの磁界参考レベルよりも小さい値でした。

測定条件ピーク周波数最大磁界値ICNIRPガイドライン値
車種速度位置
電気自動車 10km/h 運転席・脚部 1Hz 1.38μT 40,000μT
ハイブリッド車 10km/h 助手席・脚部 1Hz 1.38μT 40,000μT
ガソリン車 40km/h 運転席・脚部 6Hz 4.20μT   1,111μT

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