ある病気の発症(または死亡)と要因Aに因果関係があるとします。その場合、

  • 要因Aによって発病率(死亡率)がどのくらい高まるのか(相対リスク)
  • その病気には要因A以外の原因もあるが、全ての原因のうち要因Aはどのくらいの割合で発病に寄与するか(寄与リスク割合)
  • 要因Aが原因となった患者(死亡)は何人になるか(寄与患者数または寄与死亡数)

が、集団全体への要因Aの影響を判断する指標として重要です。

寄与リスク割合は、「相対リスク」と「その集団における要因Aのばく露率」から推定されます。寄与患者(死亡)数は、集団全体(たとえば全国)での患者(死亡)総数に寄与リスク割合を掛けたものです。

たとえば、肺がんによる死亡において、喫煙の相対リスクや寄与リスク割合はどのくらいの大きさでしょうか。日本での大規模コホート研究(Journal of Epidemiology Vo.18, pp.251−264;2008)によれば、2006年までのデータにおいて、肺がん死亡における喫煙の相対リスクは男性4.8(女性3.9)、肺がん死亡における喫煙の寄与リスク割合は男性69パーセント(女性20パーセント)と推定されています。このため、肺がん死亡の低減対策として、禁煙のインパクトが非常に大きいことが理解できます。

小児白血病発症と超低周波磁界

小児白血病発症に対する超低周波磁界の寄与リスク割合が、WHOの環境保健クライテリアNo.2381)の付録資料に示されています。しかし、磁界と小児白血病の間には因果関係は立証されていません。同資料では、「因果関係が仮にあったとして、超低周波磁界を低減する政策を採用した場合のインパクトを評価する材料を提出した」と断っています。

相対リスクには2.0(Ahlbomの超低周波磁界と小児白血病に関するプール分析報告2))を一律に、0.3または0.4マイクロテスラ以上の磁界へのばく露率には国別のデータを用いて推定した結果、各国(日本、英国、米国、ドイツなど7ヵ国)の寄与リスク割合は多少ばらつくものの、数パーセントの範囲にあることが示されました。日本については兜報告3)にもとづき、寄与リスク割合は0.8パーセント、小児白血病の年間推定発症数(490人前後)における寄与患者数は3.9人と推定されています。

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