近年、個人あるいは事業目的による電磁界(電磁波)発生源の増加やその形態の多様性には眼を見張るものがあります。

例として電力をはじめ、ラジオ、テレビ、携帯電話やその基地局、電子レンジ、電子タグ、盗難防止装置、IH調理器、レーダー、医療機器、産業機器などなど、これらの技術は我々の生活をより便利に、より快適にしています。現代社会はこれらの技術なしでは考えられません。

一方、これら電気機器の使用による健康不安を懸念している人もいます。電磁波の健康影響の可能性(健康リスク)があると一部の科学者が指摘していますが、本当のところは不明です。その為にWHOをはじめ、様々な国際機関や国公立の機関や大学で、電磁界の健康リスク評価を行うために研究者が日々努力しています。WHOは、2006年には静電磁界、2007年には商用周波電磁界への健康リスク評価を終えました。今後電波領域の高周波電磁界への健康リスク評価を行う予定です。これから「電磁波問題あれこれ」と題してシリーズで、電磁波の健康問題を解説していきますが、その前に電磁波の物理的特徴についてお話したいと思います。

電磁波はその周波数とエネルギーによって電離放射線と非電離放射線に分けられます。電離放射線は、エックス線やガンマ線などの極めて高い周波数の電磁波で、細胞を構成する分子の原子結合を破壊することによって電離作用(プラスやマイナスに荷電された原子や分子を生成すること)を起こさせる非常に強い光子エネルギーを持っています。非電離放射線は、光子エネルギーが原子結合を破壊するには至らない程の電磁波と一般的に表現できます。したがって、どんなに強い非電離放射線でも生体系で電離作用は起こしません。しかし、非電離放射線は昇温させたり、細胞内化学反応を変化させたり、体内に電流を誘導するといった生物学的影響をもっています。この中には、一部の紫外線、可視光線、赤外線、ラジオ波やマイクロ波などの電波、商用周波電磁界そして静的電磁界が含まれます。

電磁波は、時には健康への悪影響に結びつくような、生物学的影響をもつこともあります。生物学的影響とは、電磁波ばく露によって感知できる程の生理学的変化を生体で生じさせることを指します。健康への悪影響(健康影響)は、その生物学的影響が身体の正常な調節能力を越える場合であり、結果として健康が損なわれた状態に陥ることを指します。例えば、多少強い日差しに対して皮膚の血液循環が増加するような、ある種の生物学的影響は無害といえます。肌寒い日に直射日光を暖かく感じたり、太陽によるビタミンD生成といった生物学的影響は有益です。しかし、過度の日焼けや皮膚がんなどある種の生物学的影響は健康への悪影響をもたらします。

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多くの方々に電磁界(電磁波)に対する理解を深めていただきたいと考えています。

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