我が国の電波法によれば「電波とは、300万MHz以下の周波数の電磁波をいう。」と規定しています。

300万MHz(3000ギガヘルツ)以下の電磁波ですのでそういう意味では「超低周波(300ヘルツ以下)」、「中間周波(300ヘルツ~10メガヘルツ)」も「電波」に含まれますが、「電波防護指針」では、周波数割当ての現状、電波利用技術の動向等を考慮し、10キロヘルツから300ギガヘルツまでの周波数を管理対象としています。

中間周波電磁界や高周波電磁界の発生源には、テレビやパソコンなどのビデオモニター(3~30キロヘルツ)、IH調理器(20~60キロヘルツ)、AMラジオ(30キロヘルツ~3メガヘルツ)、工業用誘導加熱装置(0.3~3メガヘルツ)、高周波熱溶接装置、医用ディアテルミー(3~30メガヘルツ)、FMラジオ(30~300メガヘルツ)、携帯電話、テレビ放送、電子レンジ、ワイヤレスLAN(0.3~3ギガヘルツ)、レーダー、衛生放送、マイクロ波通信(3~30ギガヘルツ)、太陽(3~300ギガヘルツ)などがあります。

電磁波とヒトとの相互作用は、「電磁波問題あれこれ ~第2回連載~」で説明しましたが、電磁波によって、体内に誘導電流と熱作用を引き起こすことが知られています。そして100キロヘルツ以下の中間周波電磁界や超低周波電磁界は主として誘導電流による刺激作用を、100キロヘルツ以上の中間周波電磁界や高周波電磁界は主として熱作用をもたらします。

誘導電流は、1平方メートル当たりのアンペア数(A/㎡)の電流密度で表せます。ヒトで生理的に発生する電流密度は約10mA/㎡ですが、100mA/㎡以上の誘導電流密度は、中枢神経を刺激したり、受動的な筋肉の硬直を引き起こします。

メガヘルツから10ギガヘルツまでの中間周波や高周波の電磁波は、ばく露された組織を通過し、組織でのエネルギー吸収にともなって熱を発生させます。 電磁波の組織へ浸透する深さは、その周波数に依存し、周波数が低ければ低いほど深くなります。組織内での電磁波によるエネルギー吸収は、単位組織量のエネルギー吸収率(比吸収率、SAR)として計算され、キログラム当たりのワット数(W/kg)で表しますが、これが基本的なばく露測定量となります。4W/kgのSAR以上のばく露により体温が1℃以上上昇し健康障害を引き起こすと考えられますが、そのようなエネルギー環境は、人が立ち入ることのできない、例えば東京タワーのような高い電波塔の頂上にある強力なFMアンテナから数十メートルの範囲のみと言えます。 過度な誘導加熱は、男性の生殖機能にも影響を与えるし、白内障を誘発します。

10ギガヘルツ以上の高周波電磁界のほとんどは皮膚表面で吸収され、ごく一部だけが皮下組織へ透過していきます。 そのばく露指標は電力密度、1平方メートル当たりのワット数(W/㎡)で表せます。白内障や熱傷は、周波数が10ギガヘルツ以上の高周波電磁界に、電力密度が1000W/㎡以上でばく露される必要があり、そのような環境は強力なレーダーの至近距離でのみ存在していますが、電波法により立ち入りは制限されています。

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