測定結果
(1) 磁界測定値
各車種における、全ての測定条件の中で測定された磁界の最大値を表2に示します。
最大値が測定された位置は、電気自動車、プラグインハイブリッド車では、後部座席シート上(E、測定距離6.5cm)、ガソリン車においては、運転席側ダッシュボード上(G、測定距離20cm)でした。
最大値を示した測定条件は電気自動車、プラグインハイブリッド車では、③ダイナミックモードでの加速・減速時、ガソリン車では①停止時でした。
最大磁界レベルでは、プラグインハイブリッド車が一番高い値となり、ガソリン車の方が電気自動車より高い結果となりました。
(2) 周波数分析
プラグインハイブリッド車の測定位置Aの周波数分析の結果を図7に示します。
測定条件毎に異なる周波数成分の最大値(周波数ピーク)が測定されましたが、車両の速度によって変化する周波数成分と車両の速度に関わらず一定の周波数成分がそれぞれ確認されました。前者はタイヤやモーター等から発生する回転磁界、後者は空調機器や冷却ファン等の機器から発生する磁界と推定しました。
電気自動車の充電ソケットでは、急速充電時は車両への入力が直流電流のため、バックグラウンド磁界と同等の周波数特性となり、普通充電時は入力が交流電流のため、商用周波数50Hzの成分が測定されました(図8)。
ガソリン車の測定位置Gでは、1~5 Hzまでの周波数成分が主に確認されました。これはワイパーの動作時顕著に値が大きくなったため、ワイパー動作による回転磁界と推定しました(図9)。
(3) 磁界レベルの評価
各車種における、磁界の最大値が測定された時の周波数ピークに対する磁界レベルの評価結果を表3に示します。すべての車種でICNIRPガイドラインよりも低いことがわかりました。
また、自動車の測定では、複数の周波数成分が測定されているため、これらの値に対するICNIRPガイドラインの参考レベルに対する割合を加算した値における評価式(1)による評価を実施しました。評価式の値が1以下であればガイドラインを満足します。表4に示す通り加算値が1より低くなり、ガイドラインより低い値となることがわかりました。