欧州委員会が電磁界と健康についての研究提案を公募

2021.6.28掲載

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は2021年6月22日付で、研究・イノベーションに対する資金提供プログラム「ホライゾン・ヨーロッパ」の枠組みの一環で、「電磁界と健康」についての研究提案を公募すると発表しました。

この発表の要点は以下の通りです。

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ぼぼ全ての市民によるワイヤレス個人通信デバイス(携帯電話、Wi-FiまたはBluetoothを実装したデバイス等)の使用が、プライベートおよび専門分野で、また社会基盤において、指数関数的に増加しています。セキュリティスキャナー、スマートメーター、医療機器といった、電磁界を用いるその他の幾つかのアプリケーションも増加しています。その結果、私たちの身のまわりで人工的な電磁放射が増加しています。

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、電界、磁界および電磁界へのばく露を制限するためのガイドラインを発行しています。EU加盟国は、ICNIRPガイドラインが提示する電磁界ばく露評価についての基本的規則に準拠した、EU理事会指令1999/519/ECおよびEU指令2013/35/EUの対象となっています。しかしながら、例えば第5世代移動通信(5G)技術の展開によって生じる、潜在的により高い電磁界へのばく露によって発生するかもしれない健康および安全へのインパクトをめぐって、一部に懸念があります。ばく露の増加は、例えば、より高い周波数の更なる使用や、特に都市部での異なる信号の潜在的集中から生じる可能性があります。

このトピックの下での研究活動は、既存の、および新たな電磁界ばく露の潜在的なハザードとリスクについての将来を見据えた情報を、革新的なモニタリング技術、実験で得られた証拠およびモデリングを通じて提示することが望まれ、これには以下の全ての活動を対象に含めることが望まれます。
・一般公衆、ならびに子どもや労働者といったリスクにさらされる特定の集団のばく露の、革新的技術を用いたモニタリング
・潜在的に新しいばく露パターンの確立、ならびに(例えば、既存世代の携帯電話技術の使用によって生じるもの)既存のばく露パターンとの比較。5G、支持的社会基盤、高周波帯域、変調技術およびアプリケーションを含む新技術の導入により、電磁界ばく露が時間とともにどのように変化したかを文書化することが望まれます
・3R原則[※1)]を尊重して、ばく露とデバイス使用のパターンの組み合わせを考慮して、イン・ビトロ(細胞研究)およびイン・ビボ(動物研究)のアプローチを用いた、局所および全身への生物学的影響、ならびにライフサイクル全体への健康上のインパクトについての証拠の調査
・ばく露のレベルおよび持続時間と潜在的な健康(生物学的)影響との間の因果関係についての、生活環境および労働環境での潜在的メカニズムを含み、また脆弱な集団、特に子どもに配慮した、FAIR原則[※2)]に従ったデータの発信
・電磁界ばく露評価のための分析手法、ならびに電磁界ばく露の健康および環境に対するインパクトについての新たな品質基準および規格(欧州電気標準化委員会(CENELEC)/国際標準化機構(ISO))の提案
・利害関係者の連携に沿った、得られた証拠に基づくばく露低減対策についての事例研究の実施、ならびにばく露の未然防止[prevention]のための実践的ガイドラインの発信
・未然防止措置[preventive actions]に市民を関与させ、彼らの懸念に対処するための、効率的なコミュニケーションのための手法およびツールの提案および検証
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この発表の原文は、以下のURLで確認できます。
https://bit.ly/2TX7byD


※注記
1) 3R原則:科学上の目的を達することができる範囲での動物実験における原則。代替法の利用(replacement)、使用数の削減(reduce)、苦痛の軽減(refinement)の略。
2) FAIR原則:データ共有の基準としての原則。見つけられる(findable)、アクセスできる(accessible)、相互運用できる(interoperable)、再利用できる(reusable)の略。