フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が身体装着型の携帯電話の健康影響についての意見書を発表

2019.10.23掲載

フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2019年10月21日付で、「身体近傍に装着される携帯電話によって生じるかも知れない健康影響」についての意見書(専門家による評価報告書)を発表しました。

ANSESは2017年10月30日に、「身体近傍で使用される無線機器から発せられる電波への人々の実際のばく露の特徴付け、ならびにばく露指標の策定についての科学的及び技術的支援」を公式に要請されました。

この要請では、身体に接触する無線機器についてフランス国家周波数庁(ANFR)が2012-2016年に実施した測定で記録されたような、比吸収率(SAR) 2 W/kgを超える電波へのばく露が健康影響を生じるかどうか、また、成人と子どもの集団で影響に違いがあるかどうかをを示すよう求められました。

この目的のために設置された専門家委員会が、携帯電話から発せられる電波に関連するリスクについてのANSESのこれまでの報告書に加えて、2018年11月までに発表された動物研究及び細胞研究についての論文をレビューしました。ヒトに関する研究も1報ありましたが、手法上の限界のためにレビュー対象からは除外されました。

レビューの結果、専門家委員会は次のように結論付けています。

  • ANSESのこれまでの報告(特に2013年及び2016年の報告)で既に示されている生物学的影響及び健康影響(即ち熱作用に由来するもの)以外に、2 W/kgを超えるばく露に関連した影響(特に脳の活動への影響)については、証拠は限定的である。更に、入手可能なデータからは、その他の生物学的機能への影響があるかどうかを結論付けることはできない。
  • 2 W/kgを超えるばく露についての科学文献におけるデータは動物実験から得られたものであり、そのばく露は頭部または全身平均SARによって特徴付けられている。加えて、ANFRによって測定されるような標準的なSARは、一般的には遭遇し得ないような最大のばく露条件で測定されている。
  • 「物理的因子、新技術及び開発分野に関連したリスクの評価」についての専門家委員会の勧告は、2 W/kgを超えるばく露に関連する専門家評価の結果、ならびに、2 W/kg超及びそれ以下の両方のばく露を考慮したANSESのこれまでの報告に基づいている。

ANSESは、この専門家委員会の結論を支持しています。

ANSESはまた、身体近傍で保持される可能性のある無線機器について、身体に接する状態(0 mm)でSAR適合性検証が実施されることを確実にするため、測定距離に関する規格の条項を修正するよう勧告しています。

この意見書についての更なる情報は、ANSESの以下のウェブサイトで確認できます。
報道発表(仏語):
https://www.anses.fr/fr/content/expositions-aux-t%C3%A9l%C3%A9phones-mobiles-port%C3%A9s-pr%C3%A8s-du-corps
意見書全文(仏語):
https://www.anses.fr/fr/system/files/AP2017SA0229Ra.pdf
意見書の要旨(英語):
https://www.anses.fr/en/system/files/AP2017SA0229EN.pdf

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