フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が
5Gの健康リスク評価を開始

2020.1.28掲載

フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2020年1月26日付で、第5世代(5G)通信技術に関連した潜在的な健康リスク評価を目的とする専門家による検討を開始したと発表しました。

同日付の報道発表では、次のように述べられています。

「第5世代(5G)通信技術の展開は、新たな社会基盤に基づく革新的サービスを約束するものです。 この技術の進展により、人々のばく露の様相が変化するので、測定及び評価方法を適応させる必要があります。 フランスでは今年の末までに計画されている5G展開の一環として、ANSESは、この技術への人々のばく露に関連した健康リスク評価を目的とした専門家による検討を実施しました。 この目的を達成するため、ANSESは、関連するばく露レベルを特徴付け、健康影響を評価する上で、この技術及び設備についてのデータの取得の必要性を強調します。

5Gの展開、ならびに政府が2018年7月に発表した国家的ロードマップの一環として、 ANSESは、この技術から生じる電磁界への人々のばく露を鑑定し、あるかも知れない関連する健康リスクを評価するため、 保健、環境及び経済を担当する各省から連絡を受けました。この文脈において、ANSESは専門家による検討の基礎となる予備的報告書を発行します。 その結果は2021年の第1四半期に利用可能となる予定です。これは特に、入手可能な科学的研究の目録となり、リスク評価の主な領域を特定するものです。」

5G技術:調査対象の新たな周波数帯域

5G技術の展開は、健康、メディア、運輸、将来の産業といった多くの分野における革新的サービスの開発を目的としています。 これは、より広範なワイヤレスサービスを提供し、コネクテッド・デバイスの開発を奨励するため、 質と速度の面でのモバイルデータ転送容量の増大に依存しています。

フランスでは、最初の第5世代は2020年末までに開始予定です。新たな2つの周波数帯域に加えて、既存世代のモバイル技術(2G、3G、4G)に既に用いられている周波数が用いられます。

当初は、多くの地域での5Gモバイル通信に3.5 GHz帯域が用いられます。

その後数年で、限定的な領域内でのコネクテッド・デバイスまたはモバイル通信用に26 GHz帯域が用いられます。

リスク評価に必須のばく露データ

ANSESは、国家周波数庁(ANFR)と協力して、人々のばく露シナリオを定義し、あるかも知れない健康へのインパクトを評価できるようにするため、 関係する製造者からできるだけ多くの技術情報を収集することが必要であると強調します。

モバイル事業者は既に、新たな社会基盤の機能を検証するため、フランスの複数の都市で予備的実験を実施しています。ANFRは、公衆の電波ばく露を制御する任務の一環として、3.5 GHz帯域におけるばく露測定の試験を2018年末から実施しています。これらの測定は、ANSESによる評価で考慮されるデータソースの一部を構成するものとなります。

特定された2つの専門領域

「ANSESは、3.5 GHz及び26 GHzの5G周波数帯域に対応する、2つのリスク評価領域を特定しています。これらの周波数帯域ではばく露の様相が異なります。

ANSESは、3.5 GHz前後の周波数へのばく露に関連した潜在的な生物学的影響及び健康影響についての科学的データが欠如していることを強調します。 そのため専門家は、これに近い周波数(0.8~2.45 GHz)を用いる各種の既存の通信技術(3G、4G、Wi-Fi、等) の健康へのインパクトについてのANSESの従来の報告書の結果を外挿できるかどうかを評価します。 より高い周波数(20~60 GHz)については、文献から入手可能なデータはより多いので、 専門家はこれらを分析し、26 GHz帯域でのばく露に関連して生じるかも知れない健康へのインパクトを評価します。」

この報道発表の原文(フランス語)は、ANSESの以下のウェブサイトで確認できます。

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