英イングランド公衆衛生局(PHE)が5Gについてのガイダンス文書を発表

2020.2.6掲載

英国のイングランド公衆衛生局(PHE)は、「5G(訳注:第5世代移動通信)技術:電波と健康」と題するガイダンス文書を発表しました。
この文書の内容は以下の通りです。


移動通信技術は数世代にわたって発展しており、今では多くの2G、3G及び4G基地局が環境中に設置され、携帯電話及びその他のデバイスのユーザーにサービスを提供しています。

公衆ばく露
ネットワークが最初に導入されて以来、過去数十年間にわたり、より小さな地理的領域にサービスを個別に提供すると共に、放射電力を低減する、より小型の送信設備の数が増加する一般的な傾向があります。
この背景に対し、多くの測定が実施され、一般公衆の電波ばく露は国際的な健康関連のガイドラインのレベルに十分収まっていることを示し続けています。これらのガイドラインは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインに由来し、英国及び欧州レベルでの保健防護政策を支えています。
5Gデバイス及びネットワークの導入に関連して、この技術は初期段階にあり、移動通信技術の最新の進化を反映しています。ICNIRPガイドラインに基づく現在の技術規格は、開発されるこれらの製品に適用されます。英国のネットワーク事業者は既に、ICNIRPガイドラインに準拠することに専心しています。
5G周波数
伝送される情報量の増加に伴い、より多くの周波数が利用可能になりつつあります。また、5Gでの将来の利用が検討されている最も高い周波数は、現行のネットワーク技術で利用されている周波数よりも約10倍高く、数十GHzに達します。
その利用は新しいものではなく、二地点間マイクロ波リンク、及びその他の長年にわたって環境中に存在する幾つかのタイプの送信設備に利用されています。ICNIRPガイドラインは、5G用に提案されている最も高い周波数(数十GHz)よりも遥かに高い300 GHzまで適用されます。
調査研究
電波ばく露は新しいものではなく、このトピックについての健康関連の研究は数十年間にわたって実施されています。特に2000年以降、急激に増加したワイヤレス技術についての懸念に対処した各国の及び国際的な研究プログラムを通じて、大量の新たな科学的証拠が得られています。
最近の調査研究は主に、現在の通信技術と、それが利用する数GHzまでの周波数の無線信号へのばく露に焦点を当てています。
より高い周波数については少数の研究しか実施されていませんが、より高い周波数での電波と身体組織との相互作用を司る生物物理学的メカニズムは十分に理解されており、それが現行のICNIRPの制限値の根拠となっています。より高い周波数を利用することにおける主な変化は、電波の身体組織への浸透深度がより浅いこと、ならびに、電波のエネルギーの吸収とその結果生じる加熱が、身体の表面により集中するようになることです。
まとめ
既存のネットワーク、または新たな領域に5Gが追加される場合、電波ばく露が全体として僅かに増加するかも知れないという可能性があります。但し、ばく露は全体としてガイドラインよりも低いままであると予想されるので、公衆衛生に対する結果は何ら生じません。
PHEは、5G及びその他の無線技術に適用可能な証拠のモニタリング、ならびに必要とされる助言の更新に専心しています。

このガイダンスの原文は、以下のURLで確認できます。
https://www.gov.uk/government/publications/5g-technologies-radio-waves-and-health/5g-technologies-radio-waves-and-health

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