米国政府説明責任局(GAO)が5Gについての報告書を発表

2020.11.26掲載

米国政府説明責任局(GAO)は2020年11月24日付で、「5G(第5世代移動通信)ワイヤレス 進化するネットワークの能力と課題」と題する報告書を発表しました。

この報告書では次のように述べられています。

5Gワイヤレスネットワークは、大幅に向上した速度と、より多くのデバイスを利用するための大容量を提供することを約束しています。5Gネットワークは既存の携帯電話ネットワークより柔軟で、より信頼性があり、よりセキュアであると期待されています。

従来世代のモバイルワイヤレス技術と同様に、5Gの全性能は今後10年間にわたるネットワークの進化とともに徐々に達成されます。米国における5Gネットワークの展開は2018年後半に始まり、これら当初の5Gネットワークはモバイルブロードバンドの強化に焦点を絞っています。その展開は既存の4Gのコアネットワークに依存しています。多くのエリアでは、ほどほどの性能改善しかなされていません。5Gの潜在能力を全て発揮するには、新たな技術開発が必要です。5Gネットワークの仕様の定義に関与してきた国際機関が更なる5Gの仕様を策定し、企業がその技術を開発・検査・展開する必要があります。GAOは、米国における5G技術の性能または利用を阻害する可能性がある課題として以下があることを同定しました。

  • 周波数の利用可能性と効率:周波数の需要は供給を上回る状態が続く可能性が高い
    • 周波数のより効率的な利用のための技術(例:周波数シェアリング技術)の研究および開発が必要
    • 様々な運用条件下での、より高い周波数での電波伝播の徹底的な理解が必要
  • サイバーセキュリティ:5Gネットワークは幾つかのネットワークセキュリティ強化を提供するが、その多くは完全な、または「スタンドアローンの」5Gネットワークの展開までは実現されない
    • 5Gネットワークは新たなモードのサイバー攻撃を導入し、潜在的な攻撃ポイントを拡大する
    • 5Gはネットワークのハードウェアについてのサプライチェーン周辺にある従来の懸念を排除しない
  • プライバシー:5Gネットワークは既存のプライバシーについての懸念を悪化させる
    • 5Gネットワークは新たな種類のユーザーデータを導入する。これにはより正確な位置データが含まれる
    • 5Gネットワークは既存の携帯電話ネットワークよりも遥かに多くのデータを生み出すと予測される
  • 生じるかもしれない健康影響についての懸念:5G技術の展開は、電波ばく露が健康に影響するという、既にある一般公衆の懸念を高めるおそれがある
    • 意思決定者には5G技術の影響についての政策に関連した情報が必要
    • 5Gに用いられる電波に関連した健康リスクについての一貫性のある証拠はないものの、一般公衆の懸念への対応は依然として課題であり、その理由の一部は長期的な健康影響が不明であることによる

GAOは、これらの課題に対して6つの政策的選択肢を策定しました。

  • 周波数シェアリング技術(略)
  • 調整されたサイバーセキュリティ・モニタリング(略)
  • サイバーセキュリティ要件(略)
  • プライバシーの実践(略)
  • 高い周波数帯の研究:政策決定者は研究開発を促進できる
    機会:
    • アンテナ特性の統計学的モデリングの改善と、電波伝播特性のより正確な表現によって達成可能
    • 高い周波数帯の電波への長期的なばく露によって生じるかもしれない健康影響についての理解の改善によって達成可能
    考慮事項:
    • 研究開発には費用がかかり、調整と管理がなされなければならず、その潜在的便益は不明。政策決定者は資金源を同定する、または既存の資金の再配分を決定する必要がある
  • 現状(略)

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