スウェーデン放射線安全庁(SSM)が「電磁界と
健康リスクについての最近の研究」に関する年次報告書を発表

2021.5.6掲載

スウェーデン放射線安全庁(SSM)は2021年4月28日、「電磁界と健康リスクについての最近の研究‐電磁界に関する科学評議会からの第15次報告書」を発表しました。

同評議会は、電磁界へのばく露に関連する潜在的健康リスクについての現行の研究モニタし、 あるかもしれない健康リスクの評価についてSSMに助言を提示しています。 科学的検証が必要な政策事案についてSSMが提言を示さなければならない場合、同評議会は助言を提示します。 同評議会には、現行の研究および知識の状況について、書面での報告の提出が毎年求められています。

今回の報告書は一連の報告書の15番目のもので、2019年1月から同年12月までに発表された研究を調査しています。 調査対象とされた新たな研究には、高圧送電線からのばく露、労働者の磁界ばく露と筋萎縮性側索硬化症(ALS) やパーキンソン病等の疾病、が含まれています。ALSについては、磁界または電撃との関連があるかもしれないものの、 今のところ、どちらが原因となり得るかはわかっていません。パーキンソン病については、 研究結果からこれらへのばく露との関連はないことが示されています。脳腫瘍と携帯電話使用との関連については、 従来の研究結果と一致しており、携帯電話からの電波はリスクを生じないということを示しています。

同評議会の座長を務めるユトレヒト大学(オランダ)のAnke Huss博士は次のように述べています。

「これらの研究結果は全体として、新たな健康リスクを示していませんが、更なる調査が必要な論点が幾つかあります。例えば、酸化ストレスです。」

酸化ストレスは、身体が酸素を消費する時に自然に発生するプロセスです。酸化ストレスの際、 身体の細胞に損傷を与え得る物質が生成されます。これまでの報告と同様に、動物研究では弱い高周波電磁界へのばく露による酸化ストレスの増加が示されています。 但し、これらの研究の間には大きな食い違いがあります。

Huss博士はまた、次のように述べています。

「動物実験は、人間のばく露とは大きく異なるばく露条件下で実施され、その研究結果は人間に直接的には適用できません。 但し、これらの研究の評価を継続することが望ましく、世界保健機関(WHO)は現在、そのような系統的レビューを実施しています。」

第5世代移動通信(いわゆる5G)の特定の健康リスクについての研究は同定されなかったことから、 今回の報告書では、そのような研究は評価していません。他方、現在導入されつつある5G技術は、 従来世代の移動通信で長年利用されている周波数範囲のすぐ近くの周波数の電波を利用しています。 よって、これまでに発表されている研究は、十分に関連性があります。今後5Gでの利用が予想されている、 より高い周波数については、更なる研究が必要ですが、より高い周波数の電波がリスクを高めるであろうということを示唆する機知のメカニズムはありません。

SSMは、プレコーショナリな[念のための]対策として、長期間の使用の際に生じるかもしれないリスクをめぐる不確かさのため、 携帯電話での通話の際にハンズフリー[イヤホンマイク等]の利用を継続することを推奨しています。

この報告書の原文は、以下のURLから入手可能です。

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