国際がん研究機関(IARC)が
携帯電話使用と神経膠腫についての最近の研究論文を紹介

2022.9.6掲載

世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は2022年9月5日付で、研究論文「北欧諸国での1979-2016年の男性の携帯電話使用と神経膠腫の発生における時間的傾向」をウェブサイトで紹介しました。

IARCはこの研究について以下のように解説しています。

「この研究は、IARC、デンマークのがん研究学会および国立病院、フィンランドのタンペレ大学および放射線・原子力安全庁(STUK)、ノルウェーのがん登録、スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者らが実施したもので、これらの国々での男性の1979年から2016年までの神経膠腫の発生率における時間的傾向についての新たな情報を提示しています。この結果は学術誌 Environment International に掲載されました。

北欧諸国では、携帯電話の使用は1990年代半ばから、特に中年男性で顕著に急増しました。これらの国々で記録された神経膠腫の発生率は、小規模で緩やかな増加の長期的傾向に従い、この傾向には1979年から2016年の間に変化は認められませんでした。この観察結果は、過去に用いられていた技術について、および、当時遭遇したばく露レベルで、神経膠腫のリスクに対して携帯電話使用による測定可能な何らかの影響が存在しないことと一致します。
発生率における無作為の変動を、携帯電話使用に関連するリスクが生じるという兆候と区別するため、科学者らはシミュレーションを用いて、これらのデータにおいて小さすぎて検出できないようなリスクのレベルと範囲を調べたところ、検出できないリスクの最大値は、調査した仮説的なリスクシナリオに依存していました。20年よりも長い潜伏期間、および8%未満のリスク上昇については不確かさが残されています。これまでに発表された症例対照研究において報告されたリスク上昇はほぼ全て、神経膠腫の発生率において観察された時間的傾向と一致しないことがわかりました。この研究の著者らは、神経膠腫の発生率に対して観察可能な影響が存在しないことは、神経膠腫のリスクに対して携帯電話使用が有意に寄与しているということに対する反証を示すものである、と強調しています。」

書誌情報:
Time trends in mobile phone use and glioma incidence among males in the Nordic countries, 1979–2016 Deltour I, Poulsen AH, Johansen C, Feychting M, Børge Johannesen T, Auvinen A, Schüz J. Environ Int, Published online 28 August 2022;

IARCの発表は以下のURLで確認できます。

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