スウェーデン放射線安全庁(SSM)が
「電磁界と健康リスクについての最近の研究」に関する年次報告書を発表

2022.11.4掲載

スウェーデン放射線安全庁(SSM)は、「電磁界と健康リスクについての最近の研究‐電磁界に関する科学評議会からの第16次報告書」を発表しました。

同評議会は、電磁界へのばく露に関連する潜在的健康リスクについての現行の研究を監視し、あるかもしれない健康リスクの評価についてSSMに助言を提示しています。科学的検証が必要な政策事案についてSSMが提言を示さなければならない場合、同評議会は助言を提示します。同評議会には、現行の研究および知識の状況について、書面での報告の提出が毎年求められています。

今回の報告書は一連の報告書の16番目のもので、2020年1月から同年12月までに発表された研究を調査しています。

この報告書の要点は以下の通りです。

「電磁界ばく露と健康リスクとの新たに確立された因果関係は同定されませんでした。

本報告書に示す研究は、疫学研究で超低周波(ELF)磁界ばく露と小児白血病との間に一貫して観察されている関連が因果関係かどうかを解決していません。

携帯電話使用に関連した腫瘍リスクについての新たな研究は極少数しか発表されませんでした。過去数年と同様に、携帯電話使用と不眠のような症状との関連が観察されました。但し、不眠は電波ばく露のレベルよりも使用期間と関連していました。このことは、観察された関連は高周波(RF)電磁界以外の要因によって説明できることを示唆しています。そのような要因には、例えばストレスまたはその他の行動学的要因が含まれるかもしれません。不眠のような症状については、携帯電話基地局からのRF電磁界ばく露と環境上の懸念との間の有意な相互作用が、ある研究で認められており、このことは、携帯電話基地局からの潜在的健康リスクについての一般公衆とのコミュニケーションが必要であることを示しています。認知機能および脳の体積についての若年者における新たな研究では、RF電磁界ばく露からのリスクは示されていません。

動物での研究に関しては、特定の状況下でRF電磁界ばく露からの何らかの影響が実験動物に観察されていること以外に、一般的な結論を導くことは困難です。従来のSSM報告書で報告された、酸化ストレスの増加についての観察は継続して認められ、現行の参考レベル未満で認められたものもあります。酸化ストレスは自然の生物学的プロセスで、病因に関与することもあり得ますが、どのような状況下で弱い電波ばく露による酸化ストレスがヒトの健康に影響を及ぼすかについては、依然として調査が必要です。

電磁スペクトルの中間周波(IF)範囲(300 Hz-10 MHz)におけるアプリケーションの利用が増加しているにもかかわらず、この範囲における潜在的健康リスクの科学的評価は僅かです。但し、本評議会が同定したこの分野における少数の研究では、現行の参考レベル未満での健康リスクは何ら示されていません。

この年次報告書には、満足のいく質に欠ける研究を一覧に示した章も含まれています。本年、ならびに昨年、多くの研究が質の低さのために除外されました。科学的観点から、質の低い研究は重要ではありません。それは資金、人的資源、および多くの場合、実験動物の無駄でもあります。」

この報告書の原文(英語)は、以下のURLから入手可能です。

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