米国国家情報長官室が「ハバナ症候群」についての評価の更新版を発表

2023.3.23掲載

米国の国家情報長官室(ODNI)は2023年3月1日付で、米国の在外公館職員らが影響を受けた「異常な健康事象(AHI)」(いわゆる「ハバナ症候群」)について、「情報部門評価(ICA):異常な健康事象についての評価の更新版」ならびにこれに対する国家情報長官(DNI)の声明を発表しました。

要点は以下の通りです。

[ICAの評価の更新版]

2016年後半にキューバのハバナで米国当局者が初めて報告して以来、情報部門(IC)は、これらの事象が外国の主体および意図的な外部メカニズムに帰結され得るかどうかを理解することを希求してきました。ICは、三つの異なる系列の調査を追及しました:一つ目は、入手可能なデータはこれらの事象において外国の敵対勢力の関与を指摘しているかどうかを決定すること;二つ目は、敵対勢力が米国の職員に対してAHIを生じさせるために使用したかもしれない意図的なメカニズムの実現可能性および存在に焦点を絞ること;三つ目は、AHIに関連する広範な現象および症状に外部の主体が関与しているかどうかの判断に、医学的分析が役に立ち得るかどうかを評価すること、でした。これら三つの系列の調査の結果に基づき、大半のIC担当省庁は、報告されているAHIに対して外国の敵対勢力が責任を負う「可能性は非常に低い(very unlikely)」との結論に達しました。IC担当省庁の信頼度はまちまちで、二つの省庁では信頼度は中程度~高い、他の三つの省庁では信頼度は中程度でした。二省庁は、AHIに対して外国の敵対勢力が責任を負う「可能性は低い(unlikely)」と判定し、情報収集におけるギャップおよび同じ証拠に対する彼らのレビューに基づき、信頼度は低いとしました。

(中略)

・外国の兵器および研究プログラムについての情報部門の報告、公開情報、ならびに科学的および医学的文献のレビュー、更には米国政府の内外の研究者の関与により、IC担当省庁は、外国の敵対勢力がAHIの原因となる兵器または装置を有しているという信頼し得る証拠はない、との判定に至りました。その結果、大半の省庁は、意図的な因果的メカニズムがAHIに関連した感覚現象および有害症状を生じた可能性は非常に低いと評価しましたが、その信頼度はまちまちでした。二省庁は、この判定に対する信頼度は高いとしましたが、三省庁では信頼度は中程度でした。二省庁は、意図的な因果的メカニズムがAHIを生じた可能性は低いと判定し、信頼度は低いとしました。これは、ICの専門家パネルの知見および米国の幾つかの研究所による研究の結果に部分的に基づき、高周波(RF)エネルギーがAHIの原因としてもっともらしいと判断したためです。全ての関係省庁は、RF電磁界における潜在的な敵の能力についての更なる研究の価値を認識しています。これは部分的には、これ[RFエネルギー]が兵器に帰結し、報告されているAHI症例の一部に見られる症状を生じ得るかどうかについて、科学的論争が継続していることによります。

(後略)

[DNIの声明]

本日[3/1]発表される情報部門評価(ICA)として結実した、情報部門の最新の尽力に基づき、大半の担当省庁が、外国の敵対勢力が、報告されている異常な健康事象(AHI)の責任を負うことは「非常にありそうにない(very unlikely)」という結論に達したことを共有します。[この結論についての]情報部門の省庁の信頼性のレベルはばらばらです。というのは、外国の敵対勢力について収集している脅威に鑑みて(彼らに関する他の多くの問題と同様に)依然としてギャップがあるためです。

このレビューの一環として、情報部門は、2016-2018年にキューバで報告され、その後の医学的および技術的分析では支持されなかった、当初のAHI(その現象についての情報部門の理解の枠組みを形成したもの)にまつわる重要な仮定を同定しました。このことと、AHIと結び付けられる外国の敵対勢力の関与、因果関係のメカニズム、または特異な症候群はないとする証拠に照らして、情報部門は、米国の職員が報告した症状はおそらく、外国の敵対勢力が関与しない要因、例えば既存の状態、通常の病気、および環境要因の結果であろう、と評価します。

この作業は持続し、持続しなければなりません。我々は、このような事象についての作業を優先し続け、情報部門の判断を足切りする[可能性の低いものを切り捨てる]情報に警戒し続け、事象を報告する人々への対応を継続します。また、情報当局の専門家パネルによる推奨事項についての行動や、敵対勢力が能力を進化させていることについて理解し、残された疑問への解答を探すための研究への投資を継続します。

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