SSM「電磁界の健康影響に関する現在の研究及び
知識の状況についての第10回目の年間報告」公表

2015.6.15掲載

スウェーデン放射線安全庁(SSM)の「電磁界に関する科学評議会」は、電磁界の健康影響に関する現在の研究及び知識の状況についての第10回目の年間報告を公表しました。

同評議会は、この分野の研究状況をモニターし、リスクの評価・認定・最適化についてSSMに助言を与えています。今回の報告は、2013年10月から2014年9月までに公表された、電磁界(静磁界、低周波・中間周波・高周波電磁界)の研究(生物学的研究、ヒト研究および疫学研究)をカバーし、特に下記の重要課題について最新情報を要約しています。

超低周波(ELF)と小児白血病及びその他の健康結果

磁界は、疫学研究で小児の急性リンパ芽球性白血病のリスク上昇と関連付けられています。 但し、実験及びメカニズム研究では、この関連を確認することができていません。 よって、ELF磁界が小児白血病の発症に何らかの影響力を及ぼすかどうかという疑問は依然として未解明です。

最近の研究は、ELF磁界ばく露と、筋萎縮性側索硬化症及びアルツハイマー病との関連を示唆しており、更なる研究が是認されます。

携帯電話使用の影響

SSMの前回の報告では、脳腫瘍及びその他の頭部腫瘍(聴神経鞘腫、唾液腺種)についての研究や、 幾つかの国々のがん統計は、携帯電話使用と成人の神経膠種またはその他の頭部腫瘍とを結びつける説得力がない、 と結論付けました。この結論は、より長いばく露期間をカバーした最近の研究によっても変更されません。

15年を超える長期間の定常的な携帯電話使用については科学的な不確かさが残されています。 子ども及び若年層の脳腫瘍のリスクに関しても、確たる結論を導くには時期尚早ですが、 これまでに入手可能な文献はリスク上昇を示していません。

最も一貫して観察されている、携帯電話ばく露からの生物学的影響は、 ヒトボランティアを対象とした誘発研究における睡眠時脳波への影響です。 但し、この影響は弱く、行動学的またはその他の健康影響と解釈されそうにありません。 幾つかの実験的誘発研究で、自身をEHSと考える人々、ならびに健康なボランティアに対し、 偽ばく露または携帯電話からの実ばく露のいずれかを行ったところ、どちらのグループでも、 偽ばく露より実ばく露の際に症状またはその他の影響が多く見られたということはありませんでした。 EHSの人々が経験した症状は実際のものであり、深刻に苦しんでいる人もいますが、これまでの研究は、 電磁界ばく露が原因であるという証拠を示していません。複数の研究で、ノセボ効果、即ち、何かが有害であるという思い込みによって生じる悪影響が示されています。

過去1年間に、若年層の携帯電話使用と症状の発生との関連が、幾つかの研究で報告されています。 但し、これが無線周波(RF)電磁界へのばく露によるものか、 交絡因子(例:個性)あるいは携帯電話またはその他の電子機器の使用によるものかについては、依然として不明です。

送信設備と自己申告の電磁過敏症(EHS)

ばく露評価が改善された、成人及び子どものがんについての新たな研究は、 先行研究と同様に、基地局及びラジオ/TV放送局といった遠方界の発生源からの無線周波(RF)電磁界へのばく露に関連した、 一般公衆に対する何らかの健康リスクを示していません。 携帯電話基地局、または学校や家庭での無線ローカルデータネットワークといった遠方界の発生源からのばく露との因果関係を示す新たな証拠はありません。

詳しくは、下記URLでご確認ください。

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