ICNIRPが最近の動物発がん性研究についての注釈を発表

2018.9.5掲載

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は9月4日付で、「最近の動物発がん性研究についての注釈」と題する文書を発表しました。

ICNIRPはこの文書で以下のように述べています。

「携帯電話に関連した無線周波(RF)電磁界への長期ばく露による潜在的発がん性を調査した、2つの動物研究が最近発表されました。1つは、米国国家毒性プログラムによるもの(NTP 2018a, b)、もう1つはRamazzini Institute[イタリアの非営利研究機関]によるもの(Falcioni他、2018)です。 これらの研究はとりわけ、ICNIRPのRFばく露ガイドライン改定の際に留意されました。 但し、どちらの研究にも一貫性の欠如と限界があり、ばく露ガイドラインの制定に対するその結果の有用性に影響を及ぼしています。 また、どちらも、他の動物及びヒトの発がん性研究とあわせて考慮する必要があります。 ICNIRPは、これらの研究は全体として、現行のRFばく露ガイドラインの改定に対して信頼し得る根拠を提示するものではない、と結論付けました。
(中略)

結論

NTP(2018a,b)及びFalcioni他(2018)の研究は、多数の動物を用いて、優良試験所基準に従い、 動物を生涯にわたってばく露しましたが、それらの知見の検討結果は、RF電磁界に発がん性があるという証拠を提示するものではありません。 NTPは、最も強い知見として雄ラットでの心臓の悪性神経鞘腫の増加を報告しましたが、これはFalcioni他(2018)の結果とも、 NTPの雌ラットあるいは雌雄のマウスの結果とも、RF電磁界とがんに関する文献全般とも一致しません。疫学研究の結果からは、 注目すべき成果として前庭[内耳の一部をなす器官]の神経鞘腫が示唆されていますが、心臓の悪性神経鞘腫についてではありません。 更に、NTP研究では多重比較が制御されていなかったので、雄ラットでの心臓の悪性神経鞘腫の発生率の上昇が、 単に偶然によって生じると予想されるものよりも多かったということは示されていません。ICNIRPは、NTP(2018a,b) 及びFalcioni他(2018)の研究は、現行の人体ばく露ガイドラインの改定のための根拠として利用できる、 一貫性のある、信頼し得る、一般化し得る証拠を提示するものではない、と見なしています。上述の限界に対処する、更なる研究が必要です。」

この文書は、以下のURLからダウンロードできます。

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