欧州委員会「電磁界に関する利害関係者専門グループ」(2011年2月10日)
欧州委員会(European Commission)は、委員会の専門グループ(Expert Group)として「電磁界に関する利害関係者グループ」(Group of stakeholders on EMF (electromagnetic fields))を設置し、2011年2月10日より活動を開始しました。
欧州委員会は、委員会が法律や政策を策定するにあたって専門的な見地からアドバイスを求めるための専門グループを設置することができます。専門グループには、委員会そのものが設置を決定する「formal」グループと、委員会の部局によって設置される「informal」グループの2種類がありますが、その設置にあたっては、定められたルールに従うことや透明性が求められます。このようなルールなどは、文書で定められています(※1)。
上記文書によると、専門グループに求められる役割は、委員会による法制化、政策策定、法律施行、各国との協調、などの活動に対してアドバイスや専門的知見を提供することであって、委員会あるいは部局が必要と認めたときには、定められたルールに則って設置を申請することができます。グループのメンバーとしては、専門性を備えた個人や、企業、NGO、大学、国際機関などの組織などが選ばれますが、選定にあたっては、専門性の高さはもちろんのこと、性別や地域のバランスなどが考慮されることもあります。
さて、「電磁界に関する利害関係者グループ」ですが、このグループは「informal」グループで、欧州委員会の保健・消費者保護総局(DG SANCO)によって設立されました。その任務は、「電磁界と健康の問題に関与する利害関係者間の信頼を構築し、この問題の管理に関する提言を明確化すること。これらの提言は、EUレベルでの政策提言ではあろうが、関与するすべての利害関係者に対しても同じく特定の提言となり得る。結局、その目的は、さまざまな利害関係者間の建設的な対話を確立し、人々の懸念を低減するためにすべての機関が受け入れ可能な将来方針を提案すること。」とされています。
このグループは、15名から18名のメンバーで構成することになっていて、現時点では15名のメンバーが登録されています。その内訳は、大学関係者が4名、公務員(civil service)が4名、産業界が3名、NGOが2名、研究機関が1名、公事機関(public affairs)が1名という構成になっています。メンバー選定にあたって考慮されたのは、さまざまな見解や利害関係者のバランスだけでなく、「建設的な対話」をするための環境作りです。いくつかの基準で選定し、委員会(DG SANCO)が作成したメンバー候補者リストは、異なる見解を持つ2者を交えて協議され、両者の合意によって決定されました。このグループで議論される内容によって各メンバーが所属する組織に影響が及ぶことは決してなく、議論はいわゆる「チャタムハウス ルール」(Chatham House rules)(※2)に従って進められます。
名簿が公開されていますので、参考までにリストを示します。
|  Anssi Auvinen Thomas Barmuller Lennart Hardell Maila Hietanen Isaac Jamieson Eftymios Karabetsos Lars Kindervater Michael Kundi Jacques Lambrozo Gerd Oberfeld Eileen O’Connor Alasdair Philips Maylis Telle-Lamberton Paolo Vecchia Dagmar Wiebusch  | 
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今後、このグループの活動に注目していきます。
- Communication from the President to the Commission: C(2010) 7649 final, Framework for commission expert groups: Horizontal rules and public register
 - 会議で得られた情報は利用することができるが、その情報の発信者や所属などについては秘匿する義務を負う。
 

