携帯電話は、現代の日常生活に欠かせないツールであり、誰でもスマートフォンを持ち歩いています。元々は、持ち運べる電話として普及が始まりましたが、カメラ撮影や動画視聴、キャッシュレス決済など、携帯電話・スマートフォンは非常に多機能になっています。

携帯電話・スマートフォンの電波

携帯電話の通信には、700MHz(メガヘルツ)~ 数十GHz(ギガヘルツ)帯の電磁波(電波)が利用されています。この周波数帯の電波は伝えられる情報量が多く、携帯電話の通信以外にもさまざまな通信機器や産業機器などに利用されています。

電波の人体への影響

科学的に立証されている影響(短期的ばく露影響)について説明します。

非常に強い電波にさらされると、そのエネルギーの一部が体内に吸収され、熱となり体温が上昇します。これを熱作用といいます。

ある程度の電波の強さまでであれば、人体の持つ体温の調節機能(血流の調節や汗をかくことにより体温を一定に保つ機能)により、体温が上昇することはありません。

熱作用の評価に用いられる指標として、比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)というものがあります。SARとは、生体が電波にさらされること(ばく露)によって、単位質量あたりの体内組織に単位時間に吸収されるエネルギー量をいいます。

電波塔や携帯電話の基地局からの電波には、電波の発生源が遠くにあるため全身がほぼ平均的にばく露されますが、携帯電話で通話する際には耳の付近が局所的に電波にばく露されますので、全身ばく露と局所ばく露を区別して、全身平均SARと局所SARという指標でばく露量を評価しています。

なお、科学的に立証されていない影響(長期的ばく露影響)については、電波のばく露による潜在的な長期的影響を調査した疫学研究では、そのほとんどが脳腫瘍と携帯電話使用との関連を探索してきましたが、現在まで因果関係を示す証拠は見つかっていません。WHOは2023年に携帯電話を含む電波領域の健康リスク評価を行う予定です。
詳細はこちらをご覧ください。

電波への規制

携帯電話基地局や携帯電話・スマートフォンなどから発生する電波については、総務省が電波利用における安全基準である電波防護指針を設け、人体に影響を与えない電波の強さの基準値を電波法電波法施行規則無線設備規則に定めています。なお、電波防護のための基準の制度化に関しては、総務省電波利用ホームページで詳しく説明されています。

携帯電話基地局の電波への規制

携帯電話基地局からの電波の強さは、全身平均SARという指標で規制されています。電波をより遠くに送るためアンテナに指向性を持たせていることから、基地局の近くよりも数百メートル先の地点の方が高くなる傾向がありますが、いずれの地点も電波防護指針の基準値(全身平均SAR 0.08W/kg)よりもはるかに低い値となります。また、通信事業者には、携帯電話基地局のアンテナに非常に近い場所で基準値を超える場合には一般の人が容易に立ち入れないよう柵などの設置を義務付けています。

総務省パンフレットによれば、一般的に携帯電話基地局から200m程度離れたところで電波が最も強くなり、基準値の1/1,000程度となります。なお、TVやラジオなどの電波の強さと比較しても、低いことが分かっています。

携帯電話・スマートフォンの電波への規制

携帯電話・スマートフォンからの電波の強さは、局所SARという指標で規制されています。総務省は、電波防護指針で人体に熱的な影響を与えることがないよう制限値(局所SAR 2W/kg)を定めていますので、生活環境において体温が上昇するほどの強い電波にさらされることはありません。なお、携帯電話の機種ごとの局所SARは、各通信事業者のウェブサイトで確認することができます。

無線LANの電波への規制

無線LANのアクセスポイントとパソコンなどの端末の通信にも、電波が利用されています。無線LANをはじめとした電波を発生する機器は全て電波法で規制され、電波防護指針に基づき、電波の強さが基準値(全身平均SAR 0.08W/kg)を超えないようになっています。

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