フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が
5Gについての報告書および提言に対する意見聴取用草案を発表

2021.04.22掲載
2021.05.07更新

フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2021年4月20日、第5世代移動通信(5G)と健康リスクに関する専門家報告書および提言の意見聴取用草案を発表しました。

これは、5Gの健康リスクについての継続的な作業の一部として、保健省、環境省、産業省の要請に応えるために実施されているものです。 今回発表された報告書および提言には、健康リスクに関する結論、ばく露評価についての推奨事項、および研究ニーズが示されています。 意見聴取期間は2021年4月20日から6月1日までで、主に科学者を対象としています。

ANSESは、この報告書の草案で以下のように結論付けています。

「展開が計画されている5G技術で用いられている3つの周波数帯について、ANSESは以下の点に特に留意しています。

ANSESは、3Gおよび4G技術で既に用いられている周波数帯、即ち0.7~2.1 GHzの5G技術の展開については、 ばく露レベルはほとんど文書化されていないものの、特に国家周波数庁(ANFR)によってこれまでに実施された作業は、 5Gと従来技術のばく露レベルは同等のようであるということを示唆している、という点に留意しています。 健康影響については、モバイル技術の通常の使用では遭遇しない、高レベルのばく露に関連した熱的影響のみが証明されています。 その他の潜在的影響(がん、脳機能、生殖、電磁過敏症、その他)についての研究および評価は継続しています。 現在の知識では、ANSESの前回の専門家鑑定以降に発表された報告書は、モバイル技術から発せられる電磁界ばく露と健康影響の発生との間に、その他の因果関係があることを示していません。

3.5 GHz前後の周波数帯については、文書化されているばく露レベルは数としては少なく、 ANFRによって実施された作業(シミュレーション、パイロット地点での測定)に由来し、 一部のデータについては当該技術が展開されている他の国々に由来します。これらのデータは、ばく露レベルの増加は限定的で、 いかなる場合にも規制限度値より十分に低く保たれることを示しています。ANSESの2020年の予備的報告書でも強調されているように、 十分な科学的データがないので、この周波数帯でのばく露と、あるかもしれない健康影響との間の関連についての証拠のレベルを評価することはできませんでした。 このため、専門家鑑定では、その他の周波数についての既存のデータに基づく適応の可能性を調べました。 専門家らは、生物学的影響、生理学的影響、行動学的影響、および特に健康影響についての従来の結論を、 この周波数帯に外挿することは困難であろうと見なしました。但し、専門家らは、電磁界の身体への浸透深度は同等であることと、 平均的なばく露の有意な上昇の証拠がないことから、3.5 GHz前後の周波数帯での5Gの展開が、健康への新たなリスク要因となることはないであろう、と見なしました。

最後に、26 GHz前後の周波数帯については、既存のデータは3.5 GHz帯よりも僅かに多く、 多種多様な研究に基づいており、それらのいずれも、5Gのようなデータ送信に用いられる高周波に特化したものではありません。 そのため、調査を18~100 GHzの幅広い周波数を網羅する文献に拡張しました。 ANSESは、この周波数帯は5Gの試験運用や展開にはまだ用いられていませんが、ばく露は身体の表層に関連することと、 入手可能なシミュレーションではばく露レベルが低いと示唆されていることに留意しています。 この情報を、この周波数帯での5Gの試験運用の一部として実施される測定を通じて確認する必要があります。 研究対象の各種の影響(皮膚、眼、中枢神経系、遺伝毒性、膜透過性)に関しては、 限定的なレベルの証拠がある細胞膜に対する影響を除いて、26 GHz帯での高周波ばく露に関連した、 上述の熱的影響以外の何らかの健康影響について、入手可能なデータに基づいて、陽性と陰性のどちらの結論を導くこともできません。

よって、これらの異なる周波数帯についての結論は‐データの入手可能性により理由は様々ですが‐以下のことを示しています。 即ち、現在の知識に基づけば、5G技術の展開に用いられる周波数の高周波ばく露と健康影響との間のつながりに関する状況は、従来世代に用いられている周波数のそれと同等です。」

この報告書および提言の意見聴取用草案、ならびに意見提出ページは、以下のURLで確認できます。

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