欧州委員会が電磁界ばく露の潜在的健康影響について
科学委員会(SCHEER)に意見書を要請

2021.11.24掲載

欧州委員会(欧州連合(EU)の執行機関)の通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局(DG CNECT)、保健・食品安全総局(DG SANTE)、雇用・社会問題・包摂総局(DG EMPL)、研究・イノベーション総局(DG RTD)の各担当部門は、欧州委員会に対する科学諮問機関の一つである「保健・環境・新興リスクについての科学委員会(SCHEER)」に対し、電磁界ばく露の潜在的健康影響についての科学的意見書の改定を要請しました。

EUでは、「電磁界(0 Hzから300 GHzまで)への一般公衆のばく露の制限についての1999年7月12日付理事会勧告1999/519/EC」において、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が1998年に発表したガイドラインに基づいた基本制限および参考レベルが制定されています。同勧告を受けて、全てのEU加盟各国は電磁界への公衆のばく露を制限するための対策を講じています。その対策には、同勧告で示されている参考レベルや限度値、あるいはより厳格な条項を実施しています。具体的には、20か国が同勧告(即ちICNIRPガイドライン)に従い、7か国が同勧告よりも厳格な限度値を課しています。

労働者の健康と安全の防護に関しては、「物理的作用因子(電磁界)に起因するリスクへの労働者のばく露についての健康および安全の最低要求事項に関する2004年4月29日付理事会および議会指令2013/35/EU」において、ICNIRPの1998年、2009年(0 Hz)、2010年(1 Hzから100 kHzまで)のガイドラインに基づいたアクションレベルおよびばく露限度値が制定されています。加盟各国には、2016年7月1日までに同指令と同等かより厳格な国内法を制定することが求められました。

欧州委員会はSCHEERに対し、この分野における人の健康リスクの評価に影響力を及ぼし得る新たな証拠について定期的にレビューし、科学的証拠の基礎を更新するよう要請しています。

SCHEERの前進である「新興および新規に同定された健康リスクについての科学委員会(SCENIHR)」が最後のレビューにおいて利用したデータが2014年7月までのものであり、それ以降に十分な数の新たな科学的刊行物が発表されていることから、電磁界ばく露が人の健康に及ぼすかもしれない影響についての科学的証拠の新たな分析が正当とみられるようになりました。

加えて、ICNIRPが2020年3月に、高周波電磁界への人のばく露の防護のための新たなガイドラインを発表しました。ICNIRPの1998年のガイドラインでも、既存の技術についての全ての周波数帯域、および第5世代移動通信(5G)用に想定されている全ての帯域における電磁界ばく露に関する防護が示されていますが、2020年の新たなガイドラインは、100 kHzから300 GHzまでの帯域をカバーし、5Gの進展に関する一連の論点についての更なるガイダンスも提示しています。

欧州委員会はSCHEERに対し、新たな証拠を調査すること、具体的には、「入手可能な最新の科学的証拠、特にICNIRPが2020年に改定したガイドライン(100 kHzから300 GHzまで)に照らして、勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUの(技術的)改定の必要性について」の論点に対処することが要請されました。

SCHEERには、意見書I(提出期限:2022年7月)として高周波(100 kHzから300 GHzまで)について、意見書II(提出期限:2023年7月)として1 Hzから100 kHzまでの周波数についての最新の科学的証拠の改定が求められました。

欧州委員会からSCHEERに対する意見書の要請の原文は、以下のURLから入手可能です。

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