フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が
5Gの潜在的健康影響についての報告書の更新版を発表

2022.2.28掲載

フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2022年2月17日付で、第5世代移動通信(5G)の潜在的健康影響についての専門家評価報告書の更新版を発表しました。

ANSESは2021年4月、この報告書の意見聴取用草案を発表し、これに対して同年6月までに200件を超えるコメントが寄せられました。今回の更新版は、これらのコメントを反映したものです。また、5G基地局の近くでの電波ばく露の測定結果についてのフランス国家周波数庁(ANFR)の最新データにも考慮しています。

今回の改定版では、草案における以下の知見が改めて確認されたと述べられています。

  • 従来の第3(3G)および第4世代(4G)の技術で既に用いられている700 MHzおよび2.1 GHz、または3.5 GHzの周波数帯での5Gの展開については、全体的なばく露レベルは既存技術からのばく露と同等か、若干高い程度です。従来世代についての専門家評価の結果との比較から、5Gの展開が新たな健康リスクにつながることはなさそうです。
  • フランスでは今のところ5Gには用いられていない26 GHzの周波数帯については、より低い周波数とはばく露が異なります。但し、現在入手可能なデータは非常に少ないので、健康影響があるかどうか確認できません。
  • 基地局の数が増加し、5Gネットワークの利用が拡大していることから、特に人口集団のばく露における変化を監視することで、継続してデータを生成する必要があります。
  • より一般的には、特にばく露と健康影響とのつながりについて、新たな知識を獲得することが必須です。実際、今回の専門家評価が根拠としている、電波についてのANSESの継続的な研究では、今日のデジタル機器の使用に関連した健康影響の証拠は今のところないことが示されていますが、発がんや脳機能または生殖能力の阻害といった、その他の影響については研究を継続しています。

ANSESは、新たなデータの生成を促進するため、「環境衛生および労働衛生のための国家研究プログラム」の下で、電波についての12件の研究プロジェクトに資金提供しています。これらのプロジェクトは主に、細胞レベルでの作用のメカニズム、電波の生理学的影響および健康影響、電磁過敏症およびばく露の特徴付け、についての新たな知識の獲得を目的としています。

ANSESの報告書の更新版(報道発表:英語、報告書更新版:フランス語)は、以下のURLから入手可能です。

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