国際がん研究機関(IARC)が発がんハザードの同定についてのウェブサイトを更新(Volumes 1-140)
2025.11.27掲載
世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、2025年11月21日付で「ヒトに対する発がんハザードの同定についてのIARCモノグラフ」のウェブサイトの「IARCモノグラフで分類された因子」のページを更新しました。
https://monographs.iarc.who.int/agents-classified-by-the-iarc/
これは、「IARCモノグラフ Vol. 140:アトラジン、アラクロール、およびビンクロゾリン」の概要版の発表に伴うものです。
アトラジンは、1998年にIARCモノグラフVol. 73で評価されました。アラクロールとビンクロゾリンは今回初めて評価されました。
除草剤アトラジンとアラクロールは、芝地やトウモロコシなどの作物の雑草防除に世界中で広く使用されています。ビンクロゾリンは、主に果物や野菜に使用される殺菌剤です。
作業部会は、アトラジンとアラクロールについては、(i) ヒトにおけるがんの証拠は「限定的」、実験動物におけるがんの証拠は「十分」であること;(ii) ヒトにおけるがんの証拠は「限定的」、実験系におけるメカカニズムの証拠は「強い」ことに基づき、「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」と評価しました。アトラジンについては、染色体転座t(14;18)陽性の非ホジキンリンパ腫との正の関連が認められています。アラクロールと喉頭がんとの間には正の関連が認められています。
ビンクロゾリンは、実験動物におけるがんの証拠は「十分」、実験系におけるメカニズムの証拠は「強い」ことに基づき、「ヒトに対して発がん性があるかもしれない(グループ2B)」と分類されました。ヒトにおけるがんに関する証拠は「不十分」でした。
モノグラフ Vol. 140についての詳細な情報は、以下のウェブサイトから入手可能です。
https://monographs.iarc.who.int/news-events/volume-140-atrazine-alachlor-and-vinclozolin/
なお、電磁界に関する発がんハザードの分類の変更はありません。
JEICによる注記
IARCは、化学物質や喫煙などに起因する発がんハザードの同定のための調査・研究と、がん対策を推進する機関です。
IARCによる発がんハザードの同定は、対象となる作用因子、例えば、物理的因子、化学的因子、特殊な環境因子等による定性的な評価(発がんハザードの証拠の確かさの程度)をグループ別に分類するものであり、定量的な評価(発がん性の強さ)をするものではありません。
IARCについての更に詳しい情報は、こちらをご覧下さい。
https://www.jeic-emf.jp/academic/international/iarc/

