国際がん研究機関(IARC)が発がんハザードの同定についてのウェブサイトを更新(Volumes 1-139)

2025.6.30掲載

世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、2025年6月27日付で「ヒトに対する発がんハザードの同定についてのIARCモノグラフ」のウェブサイトの「IARCモノグラフで分類された因子」のページを更新しました。
https://monographs.iarc.who.int/agents-classified-by-the-iarc/

これは、「IARCモノグラフ Vol. 139:D型肝炎ウイルス(HDV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、およびメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)」の概要版の発表に伴うものです。

HDV、HCMV、およびMCPyVはいずれも、2025~2029年のIARCモノグラフの優先順位を勧告する諮問委員会によって高い優先度が付けられています。HDVとMCPyVは、それぞれIARCモノグラフVol. 59およびVol. 104で既に評価されています。HCMVは今回初めて評価されました。

作業部会は、ヒトにおける発がん性に関する「十分な」証拠に基づき、HDVを「ヒトに対して発がん性がある」(グループ1)と評価しました。HDVは肝細胞がんを引き起こします。HDVの発がん性に関する主要な特性の機序に関する証拠は強固でしたが、実験動物における発がん性に関する証拠は不十分でした。

MCPyVもまた、ヒトにおける発がん性に関する「十分な」証拠、および実験動物における発がん性に関する「十分な」証拠、ならびに、ばく露を受けたヒトにおける「強力な」機序に関する証拠の組み合わせに基づき、「ヒトに対して発がん性がある」(グループ1)と評価しました。MCPyVはメルケル細胞がんを引き起こします。

HCMVは、ヒトにおける発がん性に関する証拠が「限定的」であることに基づき、「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」(グループ2B)と分類されました。 HCMVと小児急性リンパ芽球性白血病との間には、正の関連性が認められています。HCMVが発がん因子としての主要な特性を示す機序に関する証拠は「限定的」、実験動物における発がん性に関する証拠も「不十分」でした。

モノグラフ Vol. 139についての詳細な情報は、以下のウェブサイトから入手可能です。
https://monographs.iarc.who.int/news-events/volume-139-hepatitis-d-virus-human-cytomegalovirus-and-merkel-cell-polyomavirus/

なお、電磁界に関する発がんハザードの分類の変更はありません。

JEICによる注記

IARCは、化学物質や喫煙などに起因する発がんハザードの同定のための調査・研究と、がん対策を推進する機関です。

IARCによる発がんハザードの同定は、対象となる作用因子、例えば、物理的因子、化学的因子、特殊な環境因子等による定性的な評価(発がんハザードの証拠の確かさの程度)をグループ別に分類するものであり、定量的な評価(発がん性の強さ)をするものではありません。

IARCについての更に詳しい情報は、こちらをご覧下さい。
https://www.jeic-emf.jp/academic/international/iarc/

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